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「どこまでも進んでやるわ、
堂々と宣言するマリアに、カード達は皆満足気であった。マリアはそれに苦笑して、書類と万年筆を大切に引き出しにしまうとベッドに大の字に寝転がる。
「おいで」
マリアの声に、カード達は一斉にベッドに移動した。カードの形をしていても魔神である彼等は、宙を浮遊したりなどで移動することが出来る。テーブルからベッドに移動するなんて朝飯前だ。
「……アタシが言ったんだもんね」
カードがばら撒かれたように広がるベッドの上で、マリアは
『アタシは“マザーランド”を探しているの。そこがどんな場所かアタシは知らない。でもきっと“楽園”と呼ぶに相応しい場所よ。だって■■■が言ったんだもん!
このお城は最悪よ。帝国も、あの王様も! “最”も“悪”い! だから“楽園”を目指しましょう!
皆でいれば大丈夫よ、アタシ達なら“楽園”にだって到達出来るわ』
そう話して、まだ見ぬ“楽園”を夢見ていた。
「“マザーランド”……? どこにあるの、そんな場所……“楽園”って、なぁに……?」
この行動は“楽園”への旅路なのだろうか。マリアは本当に“楽園”に到達出来るのだろうか。そもそもこの世界に“
まだ分からない。朧気な記憶のあの時はいつの記憶なのかも、わからない。ただ、一つ決まったことがある。
「——もし無いなら、アタシが“マザーランド”になる」
雨はまだやまない。雷鳴によって光ったマリアの瞳孔に、ハートの紋様が浮かんだのを見た者は誰も居なかった。
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