第4話 屋敷
女の子についていくと人が豆粒に見えるほど大きな城壁が広がっていた。その真ん中には門があって、門を2人の兵士が守っていた。
「さっきの人はこの国の兵士でね、初めてみる服装だったから、おどろいただけで、琥太郎たちが怖がることはないよ?」
みんなは首をかしげた。
「あの、どうして琥太郎のことを知っているんですか?…さっきは、みんなのことも知ってるって…」
女の子はキョトンとした表情の後盛大にため息をついた。
「分からないのもしかたないかな。まぁ、後で分かるよ。私が誰なのか…」
門の入り口に行くと門番の1人が少女に声をかけてきた。
「呂雉様!…?…この、者たちは一体⁈」
門番が女の子の後ろにゾロゾロと続いている私たちを見て警戒を強める。
「この者たちは、客人だ。早急に通してもらいたい!」
女の子の言葉に周りの人はざわめき始めた。
「呂雉様!?」
問番の声に近くを歩いていた人々がなぜか集まり出した。
「な、何⁈」
「どうしたの?」
私たちはまるで見せ物のように、囲まれてしまった。
「しっ、しかし…!私たちがお父上に怒られてしまいます!」
「責任は私が取る…これでどうだ?」
呂雉と呼ばれみんなから尊敬の眼差しで見られている少女に私は不安を感じた。
「…わかりました…」
とうとう、門番の方が折れ、私たちは門の中に通されることとなった。
「邪魔だ邪魔だ!呂雉様がお通りになる!道を開けろぉ!」
兵士の言葉にさっきまで集まっていた人々が左右によけ、私たちが通れるように道ができていた。
その間をみんなから呂雉様と慕われている少女が歩いていく。
「さぁ、みんなもついておいで」
少女に手招きされ、私たちはドキドキしながら後をついて行った。
「誰なのかしら?」
「ずいぶん変わった服装だな?」
あちらこちらから囁き声が聞こえる。
(…この服装のせいか…それか、この女の子が連れてきたからか…?この子、一体誰なんだろう?)
少女は私たちを連れて、どんどん奥へ進んでいく。
「ここからは貴族街だ」
「き、貴族⁈…ほんとに別の世界なのね」
川熊(かわくま)がぽつりと呟く。少女はその言葉に軽く笑う。
「ここの奥に僕の家があるんだ」
少女が奥の方に指を指す。
「おっきい…」
「なんかの…お店?だったりして」
クラスの中でも背が高い人に入る井上が眼鏡をきらりと光らせ、キメ顔で話す。
「はぁもう、顔がうざいわ…」
川熊が嫌そうに井上の顔を見て眉をひそめる。
「はぁ⁈なんでや!」
「ハハハハ…まぁ、井上がうざいのはいつものことだけどね」
少女の言葉にみんなは爆笑した。
そうやって、騒いでいるといつの間にか一際大きな建物の前についた。
「お店だと間違う気持ちもわかるけど、ここは家だ。僕のね」
そう言って扉に手を当てる。
「みんな中に入って!」
私たちは少女に背を押されながら中に入る。
「「「お帰りなさいませ」」」
屋敷の中には綺麗なメイド服に身を包み洗礼された仕草で帰還を出迎えにきた召使いが並んでいた。
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