第36話

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 「他に確認することとしては、そうだな。義倉の建設はどうなっている?」


 「そちらは粗方全領土ないで完了しています。元々あった倉庫を利用したりすることで手間を減らし今年度分から必要な分を貯蔵するように指示してあります。」


 百姓達も自分たちのためになると言うことで協力的だったらしい。大雨の時はここが浸水するなど有益な情報がゴロゴロと出てきたようだ。


 「では、道の整備はどうだ?」


 「そちらはまだまだです。やはり、道を整備するとなると大きな労働力が必要となり圧倒的に人手が足りませぬ。」


 人手不足は百姓達に余裕が出てから労役で手伝ってもらうか、兵士たちを鍛錬の一環として身の整備をさせるなどして対応でもするか。


 「分かった。そちらはなんとかできるように考えるとしよう。お前達から意見や具申はあるか?」


 一応俺からの意見だけではなくミニ評定でもあるため意見を聞いてみる。


 「はっ!でしたら情報統制の方はいかがしましょう。今年度これほど派手にやったとなれば如何様にしても目立ちまするし、他国へと情報は流れてしまいましょう。」


 「うむ、それはもうしょうがないから放っておくのだ。勿論正方形に整えるだけという簡単なものだがそれにかかる労力や過信達を納得させる時間などと割には合わない。そこまで急激に広がることはないだろう。」


 「分かりました。では、種籾が流れ出ないようにだけ細心の注意を払いましょう。」


 「そうだな。俺直轄の内政官からしか種は渡さないようにするか。」


 そこからはどうするのが良いのかの議論が始まった。肥料に関しては流れの商人達から目につかないところで作成して、目につかないところがない村や箇所については他のところから運ぶという提案も取られた。後藤但馬守はそれを見守り適宜進行役を務め、会議の内容をまとめたり経験からわかる助言など若いものを上手く働かせていた。


 「よし、今年はとりあえずここまでだな。これからの時期は百姓達に任意の労役を課すが道の整備に当てよう。調練の方を希望する農兵希望の者達は訓練所に叩き込んでおくのだ。では解散!」


 後藤但馬守以下内政官が退室していくのを横目に俺は俺で壱岐守を連れてある部屋へと向かっていた。


 「いるか?」


 「はっ!」


 その言葉に合わせてスッと出てきたのは伊賀の服部半蔵だった。


 「あそこで出てきた意見にお前達から付け加えることはあるか?」


 「そうですな…。百姓達から税を取る際はハッキリとさせたほうがいいかと。これだけの収穫があったうち、ここは良い土地であったので税が高くこれだけを持っていくと。それが無ければ百姓達からは不満がでましょう。また、その内容に納得できないものには一度配置換えをして作付きが悪い土地を体験させるべきかと。」


 「ふむ、やはり反抗派は出てくるか。分かった、少しでも過激になりそうな事があれば報告するように。」


 「はっ!」

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