第32話 未来の話
32 未来の話
「さて、話もひと段落したところだがお前達からまだ何かあるか?」
「はっ、一応農地改革を進めた後の予定も話しておきたいと思いまする。」
「ほう、何かあるのか?」
「はい、まずは浮いた米を使って義倉制度を広めます。これは災害や不作などが起こった際に百姓に配るための制度です。5年ほどで古いものと新しいものを入れ替えます。次に学校制度です。こちらは百姓、商人など身分の低いもので家の仕事を手伝うことが難しい4〜8歳ほどの子供に対して教育を行い適性のあるものを六角で雇い入れるための施設にございます。勿論、武士専用の学校も用意してもいいと思いまするが観音寺のみで行うべきでしょう。それは言わずとも理解していただけるかと。」
「確かにな。人質という形を取らずに家臣の息子達を養成できるのだ、六角に忠誠を植え付けるという意味でもいいと思う。」
「はっ、先ほど述べたものは2年目あたりから始めてもいいと思いまする。他には道の整備や関税の撤廃などがありまするがこちらはある程度農法の成果が出てから試行するのがいいかと考えまする。」
「わかった。それに異議はない。お前の方で進めて成果報告だけせよ。何か問題が起きたらすぐに言うのだ。」
「はっ!有難き幸せにございまする。」
祖父に通しておきたかったことは全て通しきったので父の方を見ると父も頷く。
「では、次に私から。京極と浅井の争いがそろそろ浅井の負けで決着がつきそうにございまする。我々としては猿夜叉を預かっている以上手出しはできませぬし特に気にする必要はないと思いますが米を売り捌く先としては丁度良いかと。」
「うむ、利益を産みつつ少し安く売ってやるのだ恩をうり六角への依存を強めよう。」
父は俺が増やすことだけを考えている間にその販売先に手を伸ばすことで政治的な影響も与えようと考えてくれていた様だ。
「他には、今回の三好との対立を考慮して大津、宇佐山あたりに将来的に城を築くために京からの敵を防ぐための砦を用意すべきかと思いまする。現在関を置いている箇所を増改築し砦規模にまで拡張すべきだと考えまする。また、同様に不破関や八風、千種街道、鈴鹿峠、伊賀との国境なども防衛設備を強化すべきと考えまする。」
「ふむ、それに関しては同意だが伊賀の方は気にせずとも良い。伊賀の忍びのもの達が亀松丸を通じてこちらに着いているのだから余計な刺激をするよりは信頼している姿を見せよう。梅戸には義郷が行っているのだから後回しで良いだろう。よし、銭の余裕ができしだい比叡山や三井など寺への圧力をかけ京への砦を築こう。」
「「ははっ!」」
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