第31話 祖父への警告
31 祖父への警告
「ほう、田畑ごとに税を変えるのは不満が出るのではないか?」
「何を仰いますか…土の状態が悪く水はけがいい悪いなどで収穫量も変わりまする。それは既に六角直轄地からの結果からわかっている内容にございまするぞ?」
「そうだな、それをしっかりと内政官にも説明する様にせねばな。それと元々やっていた最低限の米の保証もしよう。それによって抵抗感を下げるのだ。先に1年分を百姓達に配ってしまって税の方で調整することは可能か?」
祖父は新しく農法を導入する土地の百姓達の反発を強く恐れている様だ。確かに今百姓達に反乱でも起こされると三好との関係もあって面倒だ。
「はい、可能ですが、業務量が増えすぎて後藤が泣きますよ?」
「はっはっはっ!一番最初に農地改革をしてやるのだから頑張ってもらおうぞ!」
何をいっているのだこの人は。口をあんぐりと上げて祖父を見る。
「いえ、後藤は一番最初に声を上げてくれたからでして…」
「むぅ、まあ大丈夫であろう。まだ、内政官を育てておるのだろう?」
「まぁそうにございますね。彼らに頑張って頂きましょう。」
南無。後藤親子。さて冗談はさておいて。
「お祖父様、伊賀のもの達から警告にございまする。お祖父様の近くで暗躍する忍びが増えているそうにございます。伊賀のもの達が自主的に防戦してくれていますが、お気をつけくださいませ。ここでお祖父様に倒れられると三好が調子づきまするし農地改革が倒れる可能性があります。」
実際はそんな動きなどないが警戒させておく、伊賀のもの達にも俺が頼んで祖父に護衛をさせている。俺は六角定頼の死が病死だと言われているのがどうも納得できない。細川晴元が京以西を治めていたが今回のことで崩れた。今までは細川と六角の両家によって京を抑え絶大な権力を持ったという意味で天下を取っていたといっても過言ではないと思う。それが今崩れたのだが、俺は浅井久政が祖父の暗殺を狙って毒を持った可能性があると考えている。
祖父が死んですぐに主筋である京極と協力してこちらを攻め取っているのだ。あまりにも早い。それに六角と手切し京極に着いたのも不可解だ。そこに久政の意思がしっかりとあったと思う。徳川に似ていると思う。六角と京極に挟まれながら泥水を啜ってでも生き延び家を守り立てようとするのだ。長政が活躍できたのは久政の活躍があったからこそだと思う。そういうところが恐ろしく、また尊敬に値すると俺は思う。だから俺は浅井久政を楽観視はしない。
「ふむ、そういう事ならば更に気をつけよう。三雲を通じて甲賀にも伝えておこう。」
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