第29話 六角の大改革2
後藤家は元々、俺を通じてこちらに着いてくれる事は分かっていた。なので事前にこの場で詳細な情報を素直に聞いてもらうために最初の衝撃を与えることにした。それが後藤家の下知に従う姿勢だ。そして、皆が注目し聞く姿勢ができた時、今、条件を話す。
「土地の管理運営、つまり田畑を耕す計画やこの土地からいくら税を取るか、不作だった時の救済や水利権などの村々での諍いなど全てこちらが引き受けよう。その代わり、お主達には今まで任せていた分の土地から取れるものに見合った銭を俸禄として支給する。勿論、お主達が欲しいものがあればそれで買えば良いし、何か自領で融通を効かせたい事があればその都度我々に言ってくれれば良いほかに何かあるか?。」
これは本当のことだ。しかし、全てを話してもいない。土地の管理運営権を渡すということは徴税権もこちらにあるということ、関税も撤廃するつもりだ。
「はっ、そうなると我々はどうやってご恩に報いればよろしいのでしょうか?」
「そうだな。今までは自領を運営し、兵を出し、外交もやって貰っていた。大変なことだったと思う。それを本人の適性に合わせて行ってもらう。例えば後藤但馬守は内政が際立って得意だ。だからこれからの農地改革や六角の内政についての取締役を任せるつもりだ。軍を出したり他国との外交をしたりするのはほかのものに任せるゆえ内政だけに取り組んでくれればいい。」
「はっ!」
「勿論望むならば武官として戦場に出ることもできる。我々は優れた内政官を失いたくはないから余り頑張りすぎては欲しくないがな?はっはっはっ。」
皆がなるほど、という顔をしている。今ですら何家かは観音寺城下に住んでいるのだ。職に応じて働くということは受け入れられやすいのだ。これは祖父の成果だ。
「では、例えば我々が戦働きをしたいとなったらどうなるのでしょうか?」
蒲生が代表して聞いてくる。
「そうだな、今は農兵が主体だがいずれは希望する農兵と、銭兵で分けようと思っている。それぞれの兵の調練や警邏として六角領内の見回り、戦争の際には指揮官として働いてもらう。」
「農兵をやめられるのですか?」
「ああ、農兵をやめるつもりだが、今急に変えるのは難しい上に全てを銭兵にするのは財政的にも大きな負担で厳しい。なので、農民の中でも希望するもの達を農兵として徴兵し、徴兵に応じたものは農繁期以外は銭兵と同じように調練などをしてもらう。その見返りとして家族単位で出した男手に合わせて税を軽減したりなどもする予定だ。そして、戦争の際には銭兵だけで足りない時に出陣してもらう。そうする事で労働力を失うことを減らし、兵としての質も確保する。強い兵を揃えるのだ。」
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