第28話六角の大改革

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  天文18年 1549年 12月


 足利親子と晴元を受け入れてから約半年が経った。その間に政情としては三好方が氏綱を神輿に上洛を果たし松永親子を先兵として山科、大和方面を制圧した。また、年末に義晴の病が明らかになり、こちらの不利な状態がさらに拡大していった。

 祖父はそちらの方にかかりきりになってしまったため父と俺で観音寺に先に戻っていた。その間父は政務を問題なくこなし、俺は農法を教える条件や詳細を詰めていた。そして、本日祖父がこちらに一度戻ってくることになりその際評定を開く事になった。そこで今回の条件を伝えるらしい。

 2年と少しの時が稼げたおかげで黒鍬衆は650護衛の兵は750 内政官400ほどを用意できた。これならば部隊を2つに分けて効率よく検地とノウハウの伝授ができるだろう。


 「さて、色々話してきたが六角家としては公方様の帰京を画策しながら領地をさらに豊かに強くする事を狙う。皆も知っての通り六角直轄地では新しい試みをしておりうまくいっている。それを此度皆にも伝えようと思っている。」


 祖父の言葉に家臣達も喜び顔を綻ばせる。既に六角の直参に入り農法を教えてもらっていたもの達以外の喜びようは凄く、先に従って農法を教えてもらった者たちは少し悔しそうにしている。


 「先に行っておく事があるが、タダで伝える気は毛頭ない。先日までに六角家に誓約してくれた者たちと同様に土地の管理運営は六角に任せるという証文をもらえる者たちのみに教えるつもりだ。勿論別のものが別のものに教えようとしても対策はとってあるので意味は薄いぞ。」


 その言葉に激震が走った。それはそうだ今までとの体制を大きく変え、六角の力を大きく強くする提案なのだ。


 「なにも父祖伝来の土地を奪い取り上げようとしているわけではない。土地を豊かにするのを六角に任せて欲しいだけだ。」


 その言葉に多くのものが渋面をしめす。


 「我々後藤家はお下知に従いまする。我らの土地、よろしくお願い致しまする。」


 再度激震が走った。六角の両藤のうち片方が、六角の重臣のうち一人がこの条件を呑んだのだ。


 「うむ。今回最初に申し出てくれたこともある。担当のもの達を最初に向かわせることを約束しよう。条件について詳細に説明しようか?」


 「はっ!ありがとうございまする。よろしくお願い申し上げまする。」


 

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