第24話 別れの時
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天文18年 1548年12月下旬 後藤豊持
近衛家から依頼された周辺の家屋の建て替えや不必要なものの処分などを進めているとあっという間に半月ほどが経った。伊賀のものたちを使って亀松丸様とは適宜連絡をとっている。官位を頂いた事を再度礼を言うようにという連絡を頂いてからはなるべく近衛家の要望に応える事と定期往復隊をだして職人たちや元農民でやる気のあるものを送り出し、戻ってくる便で資材などを持ってきてもらっている。
最近では近衛邸の修繕は終わり、近衛家関連の土地の不要物の処分や武家屋敷のような水掘りや塀、道路の整備などが終わりかけている。そろそろ辞する時期かと思っていると丁度近衛稙家殿から呼び出しがかかった。
「本日はいかがなされましたか?」
「うむ、近衛家のために働いてもらったことに感謝しておる。それもそろそろ終わりにせねば其方たちが国に帰って年末を過ごす時間も無くなってしまうだろう。名残惜しいが旅立ちの時が来たのではないか?」
「お気づきにあられましたか…。もう既に必要なことは終えておりまする。次がいつになるかは分かりかねまするが、亀松丸様はこれから毎年朝廷のために何かしたいと仰られております。来年のこの時期には必ずや会えるでしょう。」
「そうじゃな。楽しみにしておるぞ!それと、帝も亀松丸殿が元服した際には会うて見たいと仰られておる。その言葉、しかりと伝えてくれたもうな。ワシも楽しみにしておるとも。」
「はっ!必ずや主人に伝えまする!それでは!」
稙家殿はわざわざ邸宅の門の前まで来て見送ってくれた。再度頭を下げ、近衛邸を辞すると周りの長屋から出てきた兵達と共に京の町をさり亀松丸様の元へと向かって歩みだした。
〜〜〜
六角義治
「よくやってくれた!稙家殿からも感謝の文が届いておるぞ!」
俺は帰ってきた豊持を労う。
「はっ!お役目しかとはたして参りました。また、稙家殿から亀松丸様が元服した際には帝も私も会いたいと思っていると伝えて欲しいとのこと。」
「なんと…!わかった。父や祖父にもしっかりと伝えておこう。その間しっかりと其方は旅の疲れを癒すのだ。この銭は旅の報奨金だ。配下達皆にも渡してある。それとは別に訓練場にで細やかながら宴会も予定している。是非旅の仲間達と疲れを癒して騒いでくれ。」
「ありがたいお言葉です!ご好意に甘えて皆と楽しんでまいります!」
その言葉を聞いて俺は部屋を出ると父が祖父に会えるか城内のそば付きの人間に命じて確認させる。
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