第20話 後藤壱岐守豊持
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天文18年 1548年11月 後藤壱岐守豊持
私は今、主人である六角亀松丸様から任された黒鍬衆500、護衛となる足軽兵500、兵糧や諸々の行動に必要な物資を運輸する人員200内政官となる者達300の合計1500の人員を調練しているところだ。
足軽達は全て鉄砲を装備しており、いざという時は銃剣という物を先につけて短槍のように扱える訓練もしている。運輸するために集めた人員や内政官は短弩と呼ばれる手持ちの弓を改良したようなもので的当ての練習をしている。
これも亀松丸様が考えられた武器で武士のように鍛錬をせずとも矢を番え銃のように撃つだけで矢が飛んでいくのだ。
「よし、本日の調練はこれで終了とする!道具を保管庫に預けたのちに基礎訓練に入れ!」
兵の調練のために用意された訓練場には武器や道具を置いておく保管庫や食事を取るための食堂、休憩室などがありここを拠点として兵を駐屯させておくことも可能だ。
「いち!に!さん!し!」
兵にとって一番大切なことは体力だ。重い防具を着せて訓練場周辺を毎日走らせる。ただ走らせるだけではなく隊列を組んで走る練習もさせる。
「では、後は任せた。何かあれば呼ぶように。」
足軽や黒鍬のまとめ役に後を任せ、自身は主人の元へと向かう。最初に椎茸の収穫を任せられたと思えば伊賀のものを紹介するように言われたりと毎日目まぐるしいがとても充実しているのを感じる。それに、亀松丸様は無闇矢鱈に広めないならば後藤でもやってみるといいと言われた。父はそれを恩に感じこの前の亀松丸様に付いていくという判断にも繋がったといえる。
「亀松丸様、ただいま戻りました。」
「うむ。今日も良くやってくれたな。調子はどうだ?」
「はっ!隊列を組んだ走る訓練も様になってきております。これならば大丈夫にございましょう。」
「そうか、そうか!それは嬉しいな。では、初任務を任せるとするか。」
「初任務にございまするか?それはなんでございましょう?」
少しの不安と興奮を覚えながらそれを悟られぬように聞く。
「お主が用意してくれた椎茸だがなよく実ったので清酒と米と共に朝廷に献上してきて欲しいのだ。」
「朝廷にございまするか?」
「そうだ。足利の方には父達が送るものに連盟で加えさせてもらう。そして、そちらには銭を加える予定だ。この違いをつける理由がわかるか?」
朝廷と幕府への違い、量や豪華さという単純な話じゃなく銭が関わっている。銭は卑しいものという風潮がまだ残っている、そこか?
「はっ、朝廷からしたら銭を献上されるのは卑しいものを贈られる行為だからですか?」
「そうか、そう言えばそういう見方があったな。だが違うぞ。」
亀松丸様がニヤリと笑いながらこちらを向く。
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