第13話 祖父と父との会合1
祖父から側へ控えよとの言葉を頂いたので近くに座ると皆の方へ向いて話し始める。
「来年以降新たな令を発布する予定のため、先んじて皆に伝えておく。」
その言葉に皆が居住まいを正す。
「指定した市での座を否定し、諸特権の保障にする事で自由な商売を認める令だ。名を楽市楽座令とする。これの目的は座を楽市となった市場に人や銭を集める事で経済を活性化させる事、それによって座の存在意義を無くしていき六角が経済も軍事も支配下に置くことが目的である。京からの商人を引っ張り周辺国家の銭を奪い弱体化させるのだ!そして六角を更に強く大きくするのだ!お前達、ついて来れるな?」
「「「「ははぁ!」」」」
祖父の言葉に皆が熱されている。カリスマとはこのようなものを言うのだろうか。今までの実績に裏打ちされた言葉は皆に勇気とやる気を与えるのだろう。
〜〜〜〜
先ほどの謁見を終えた後、祖父と父、自分の三人で円座になり、白湯を飲みながら落ち着いている。
「どうだった亀松丸。」
「はっ、祖父様の凄さを感じました。私もあのように皆を惹きつけられる人になれるように日々鍛錬してまいりたいと思いまする。」
そういうと祖父は嬉しそうに頭を撫でててくれる。大きく硬い、男らしい手だ。父は一緒に頑張ろうと優しく声をかけてくれる。家族に恵まれていると思う。何故、史実の義治はあのように狂ってしまったのだろうか。プレッシャーに押しつぶされたのだろうか。
「さて、これからの話じゃが…。亀松丸はどのように動くつもりじゃ?」
「はっ、黒鍬衆を編成しつつ武装化も進めまする。」
「ほう?私兵を持つと言うことか?」
「はい、野盗や賊に襲われないために警護の兵を銭で雇うという体を取りながら揃えていきます。黒鍬衆は工作兵として育て上げようと思っておりまする。」
「工作兵?とはなんなのだ?」
父が興味深そうに聞いてくる。
「現地で梯子や破城槌を用意したり柵や櫓などの簡易的な砦を即座に築く為の兵です。勿論、黒鍬としての仕事もさせるつもりです。」
「面白いな。普段は黒鍬として従事させながら戦いにも使える兵か、調練と仕事が一致しているのも面白い。成果を逐一報告せよ。」
「はっ!それと、近いうちに家臣達から農法を真似させてくれという要望が上がるはずです。」
「そうだな、半分以上の収穫量の上昇だからな。皆が望むだろう。なるほど、その際に黒鍬衆を派遣させるのか。」
父も父で頭の回転が早い。流石だわ。
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