第10話 伊賀との出会い2

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 「まずは、手始めに頼みたいことがある。」


 「なんなりと。」


 「北近江、浅井、高島、滋賀郡を探れ特に竪田と延暦寺の僧兵だな。可能なら僧兵は少しずつ削れ。南伊賀の北畠、北伊勢の長野、尾張の織田、美濃の斎藤もだ。そちらは情報を集めるだけで構わん。それと、伊賀が隠れ蓑にしている商家があればそれを紹介してくれ。無ければ引退したもの達などで編成しそのもの達を使って情報を探らせてくれ。」


 「ははっ!」


 「それと幾つか試作させていた武具がある、今回持って帰れるだけ持って帰り里のものたちと話し合って使いたいもの、使えるものを選んで報告してくれ。あと、伊賀のもの達の数を増やしたい。日の本一の忍者軍団を作りたいのだ。河原者やあぶれ者たちの中から見込みのあるものを選んで訓練して増やす事は可能か?」


 「武具のことは承知いたしました。可能か不可能かで言えば可能ですが我々の里のものと違って今一歩信用し辛く、敵方の忍者の可能性もございまするので危険を孕むかと…。」


 亀松丸様は腕を組みじっと考える様子を見せる。


 「なれば、我のような幼児などを引き取り忠誠心を植え付けながら育て伊賀のものとするのはいかがだ?」


 ふむ、物心つく前に伊賀の里に連れて行けば問題はないか…。


 「はっ、それならば可能かと…。」


 「よし!ではそれも念頭に入れて活動してくれ。勿論反発などもあるだろうから服部内での意見が固まり次第そちらから声をかけてもらえるか?銭はいくらでも投資しよう。伊賀服部を強く大きくするのだ。」


 「ははっ!必ずや吉報をお持ちいたしまする!」


 俺は興奮冷めやらぬ気持ちを抑えながら亀松丸様の前を辞して渡された武具を持って里へと急いで歩みを進めた。


〜〜〜


 次の日、里に帰った半蔵は直接の配下のものたちを呼び寄せた。それと同時につながりのある伊賀忍者達にも声をかけるため書状を持たせて使いを放っていた。


 「頭領、随分と楽しそうじゃねぇですかい。昨晩の六角家での依頼はそんなに上手いものだったんですけ?」


 荒々しい雰囲気を隠さない熊男のような見た目をした男は半蔵配下の一番衆の頭、大野源蔵である。半蔵の配下には五人の衆頭がおり、二番衆頭の奈部綾 三番衆頭の春日井弥次郎、四番衆頭の八坂秋、五番衆頭の原田佐介が集まっている。


 「あぁ、我らはこれより六角家家臣として生きていくこととなった。」


 皆の目が見開かれている。源蔵に至っては身を乗り出しそうになっているほどだ。


 「頭領、それは依頼をこなす事で銭をもらう雇いではなく禄を貰うってことでいいんだよな…?」


 「あぁ、亀松丸様は我らを家臣として扱いたい、召し抱えたいと直接仰っていた。選別代わりではないが極秘に製作していた忍び用の武具、忍具と言うものも渡された。」


 おお…と感嘆の声があがる。


 「忍具はまた後で皆で試すとして、亀松丸様からの命がある。心して聞け。」


 俺は亀松丸様から承った任務についてそれぞれの衆頭達に指示をしていった。


 

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