第9話 伊賀忍者との出会い!
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天文17年1548年 5月
蒲生の手引きによって伊賀上忍の1人服部半蔵が六角家嫡男、六角亀松丸の自室までやってきていた。千賀地氏の姓を捨て服部になった俺は将軍様に見切りをつけ伊賀に一度戻ってきた所だった。これから三河松平にでも向かおうとしていたら丁度甲賀の望月から声をかけられてここまできていた。勿論、甲賀の望月に監視されながらではあるが俺にとってはこの機会を逃す様な真似はするつもりはなかったので問題なかった。
「ん?誰かいるのか?」
「はっ、お呼びになられた伊賀の服部殿にございます。」
まだ年若い男が配下であろう青年と共に控えていた。暗がりの中でも目が見えるように訓練されている俺は、許しを得て顔をあげ六角亀松丸の顔をじっと見た。まだまだ幼いというより、幼過ぎるとも思えるがその目には知性と野望が宿っているようにみえた。
「お呼びになったとのことで参上致しました。伊賀の服部半蔵にございまする。今回はどの様なご依頼にございましょうか?」
最近神童と畿内を騒がせている六角嫡男に呼び出されたことから、俺はきっと何か大きな仕事があると構えていた。六角亀松丸はこちらを頑張ってみようと目を凝らしている様だったが諦めて声のする方に顔を向けて話し始めた。
「まぁ、もちろん頼みたい事はあるのだが、まずは聞きたい。お主達はどこかの誰かに支えているのか?」
「いえ、我々伊賀の忍者といいより、忍者は大体雇われているものです。特に我々はその都度、その集落、個人ごとに同じ時期でも敵対する事もありまする。」
「なるほどな。上忍という事はお主に付き従う派閥も多いのか?」
「はっ、私が声をかければ伊賀忍者の半数は動いてくるかと。勿論依頼料にもよりまするが。」
「ならば、お主達を家族ごと召し抱えたいと言ったらどうだ?俺についてくるか?もし、仕えるとなった時に他の伊賀のもの達と揉めるかも知れぬという事であれば数年は待って貰う事になるが。」
「め、召し抱えたいとおっしゃるのですか!?我々を…!」
忍者とは蔑まれ使い捨てにされる、重用されても根底のどこかには忍者だからと思われる俺たちを家臣として召し抱えたいと言っている!こんなに嬉しいことはない!
「ああ、これからは依頼料の為ではなく、俺のために働いてもらいたい。勿論それに見合った禄や成果を他の家臣達と同様に与えるつもりだ。自分で言うのもなんだが、六角の次期当主である俺に取り入るには絶好の機会だぞ?」
「勿論!是非にお願いしたいと思いまする!他のもの達とも話し合う必要がございますが大丈夫にございましょう。しかし、私の派閥以外のものは様子見になると思いまする。依頼によっては我々の内情を探りにくる事もあるかと…。」
「ふむ、その時は相談しに来い、内容次第では公開してやっても良いしな。まずは、隗より始めよだな。お主達をしっかりと扱い他の伊賀忍者達にも俺についてきて貰うようにするか。半蔵、頼むぞ。」
「ははっ!」
今この時をもって我々伊賀の服部衆は六角家、いや亀松丸様とこれからの運命を共にするのだ。畿内の覇者である六角を盛り立てるのだ!
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