第7話 傅役と年上の側近達との開合!
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天文17年1548年 2月
後日、再度祖父に呼び出されて別の大きな部屋に向かうとそこには父である六角義賢と見慣れない男が数人いた。これはきっと前日のことかな?
驚きや動揺を全く出さないように気をつけながらスルスルと部屋の中央まで移動する。
「亀松丸よ。其方との約束を守ろうと思う。まずこちらが傅役となる蒲生下野守だ。」
少し老いを見え隠れさせる程の大人である男が祖父の声に合わせて頭を下げる。
「ご紹介に預かりました蒲生下野守定秀にございまする。若殿の傅役、しかと果たさせて頂きまする。よろしくお願い申し上げます。」
「こちらこそよろしくお願いします。見ての通り幼児の若輩者以下にございますれば蒲生殿にしっかりと鍛えて頂きたい所存にございまする。」
そうしっかりと声を張り上げ答える。こういうのは第一印象が大切だからな、賢しからな幼児ってだけでマイナスなんだ少しでも好感度を上げていかねば。声をかけられた蒲生は勿論他にも集まった面々は驚いている様子をありありと見せていた。父は祖父から話を聞いていたのか特に驚いてない様子だが内心はどう思っているかはわからんな。
「さて、傅役が一人である必要はないと思ってな。もう一人紹介させてもらおう。平井加賀守だ。」
先ほどとは別の男が頭を下げている。
「平井加賀守定武にございまする。下野守殿に丁寧な言葉遣いをしていましたが、おやめくださいませ。貴方様は六角家の直系嫡男にございまする。傲慢さ等は入りませぬが、下手に出るのは家臣にも他の大名にも侮られまするぞ。我々に対しての言葉使いから練習なされよ。」
平井加賀守はこちらを見て柔和な顔をしながらもしっかりと諭してくれている。
「そうか。年上の方に敬意を払うのは当たり前だと思っていたのだが、言われてみればそうだな。傲慢になっていたらお主達二人で是非とも諫めてくれ、俺は周りの意見を聞いて良いところは取り入れて自分の糧とするつもりだ。よろしく頼むぞ。」
平井加賀守だけでなく蒲生下野守にも目をやりしっかりと目線を交わした。二人とも満足そうに頷くと祖父の方へと向き直した。
「うむ、加賀守の提言は見事であるな。やはりお主にも傅役を任せてよかったわい。では、次は手習いや武術などの先生役をしてもらうもの達を紹介しよう。」
体つきががっしりとしているのが分かりながら無駄な筋肉がなさそうな体格をした男が前に出てくる。
「吉田出雲守重政にございまする。日置流弓術を収めておりまする。日置流を伝授するかどうかはまだまだ貴方様から判断できませぬ。しかし、武術の基礎や体づくりのための鍛錬などは教えられますので伝えていきたいと思いまする。」
この時父をチラッとみると少し苦々しい顔をしていた。史実では父と仲違いしていたらしいが今もなのかな?また、俺の手習いを教えるのは基本的には後藤但馬守の空いている時、それ以外の時は傅役たちから学ぶ事になるそうだ。
「皆の者、これから頼むぞ。」
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