第6話 祖父との会談3

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 天文17年1548年 2月 六角義治


 「国人衆達を経済的に締め上げる…という事だな?そして、土地に対する執着を薄れさせると。1代2代で行うのではなく少しずつ愛着を減らすと…。」


 「その通りに行かずとも今提案したことはやってみる価値があると思いまするが、いかに思いまするか?」


 「確かに其方の提言は受け入れるところも多かった。よし、まずは其方のいう生産力の向上とやらから取り組んでみるか?」


 「それでよろしいかと。しかし、私はまだ齢4つの身、生産力向上のための施策や知識はあっても実行に移すための発言力や実行力に乏しいのです。是非とも傅役と手足となって動いてくれる人物を一人つけて頂けませぬか?また、直轄地で施策を行うことの許可と後ろ盾をして頂ければ…。」


 「あい、わかった。まずは観音寺城下の六角家直轄地で行うと良い。後で免状を用意しよう。傅役と配下については、お主の希望はあるかの?」


 ここだな…。傅役としては六角家の重臣から選ぶべきだ。特に忍びである甲賀のもの達を使いたいから三雲か?いや、三雲の手のものを使うと三雲に忠誠を誓ってしまうか、伊賀のものを雇い入れるとしよう。ならば、傅役は…


 「傅役は、後藤但馬守殿か蒲生下野守でお願い致します。配下として彼らの子息を預けて頂ければ幸いにございまする。」


 「ほう、後藤も蒲生も六角の重臣であるの?彼らから取り込むつもりか?」


 「はっ、特に但馬守殿は勢力が些か大きゅうございまする。なので彼らが私の手足となってくれれば幸いと言ったところにございましょう。」


 「ふむ、だが但馬守は内政で忙しいし私も頼りにしているのでな。蒲生下野守を傅役に、配下として後藤但馬守の息子である壱岐守を向かわせよう。」


 「ありがとうございまする!それと、これは先ほどの話とは別になるのですが、浅井の人質である猿夜叉殿と交流を持つことを許して頂けませぬか?」


 「其方と同い年であったな。では、共に手習いを始めると良い。そこで交流を持てば不審がられることもないだろう。」


 「はっ!ありがとうございまする!手習いを全力で頑張りたいと思いまする!」


 祖父との会話はそれで終わり悠々と自室へと戻った。ある程度の事は話したがこんなにスッと受け入れてもらえるとは思わなかったな。普通ヤベェ奴だとして警戒されるか殺されるかと思った。

 

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