第4話祖父との会談1
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天文17年1548年 2月 六角義治
ここでの俺の目標としてはしっかりと祖父との信頼関係を築くことで彼が死亡するまでに後ろ盾として様々な事をさせてもらうと言うとこだ。石鹸や砂糖、鉄砲などのよくある逆行歴史チートは勿論のこと武将のスカウトや内部の派閥をまとめ上げたりなど大きく行動するためにはこの身は幼すぎるし雁字搦め過ぎる。当主でもなければ、弱小領地でもない。家督を継ぐ理由もないのだから動くための理由が必要なのだ。
先ほどから面白いものを見つけたと言うようにニヤニヤしながらこちらをみている祖父と対面しながら話を始める。
「お祖父様は家臣達を城下に住まわせることを行っていますがどこからその発想に辿り着いたのでしょうか?」
「ふむ、ワシとしてはこの有力家臣達による合議制になりかけていることを危惧しておってな。家臣達を城下に集めることで離反を防ぐとともに速やかな伝達を可能とすることに利点を感じたからじゃ。」
腕を組みこちらを見据えながら、何を簡単なことをという風に答えてくれる。
「では、もう一つ踏み込ませて頂きます。有力家臣達が力を持つのは何故だと思いますか?」
祖父が顎に手を当てて少し考えた後口を開いた。
「それは家臣達に兵力や発言力があるからであろう?何を当たり前のことを言っておるのじゃ。」
「さて、私はここで家臣達に発言力や兵力を持たせる要因は国人達が土地に縛られているからだと考えています。武士にとって大切なのは一所懸命、御恩と奉公にございますれば先祖代々土地を増やして守り受け継いでいくのが肝要だと皆が思っておりまする。そこに相違はございませぬか?」
「ふむ、そうだな。その通りである。」
「はい、私はこの制度を変えて行く必要があると思っておりまする。土地を持つから兵力が生まれ、土地を持つから争いが絶えぬのです。例えば、お祖父様は銭の力をしっかりと理解しておられると思います。銭があるから兵糧が買え、武具が変え、外交にもなるのです。銭が力なのです。」
「確かにそうだな。ワシも城下の収入から様々な外交や兵力を富ませておる。だから何なのだ?」
「つまりは、銭による御恩と奉公が成り立てば良いのです。家臣達は働き銭をもらうことで御恩を受け取る。そうすれば国人達は土地を持たずとも生活できまする。」
「だが、それでは利が少ないぞ。武士というものは早々節を変えるものではない。夢想でしかないぞ。」
「では、止むに止まれぬ事情があったらいかがでしょう。例えば、我らの米の生産力が3倍となり相場が3分の1になったとしましょう。国人達の収入はそれだけで3分の1となります。また、米の生産力が上がるという事は百姓達が富むという事です。隣の領地はたくさん米が取れて年貢も低いのに俺たちは…となって民自体が我々に流れてくるでしょう。そうすれば3分の1になった収入が更に激減し、我々は強くなり周りのもの達は弱くなります。」
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