第2話 英雄を拾ってから。

生まれてから約20年経ったある日。

スティジャンは毎日必ず行っているパトロールをしていた。

そんな時にボロボロの服を着て体育座りをしている銀髪の少年がいた。


「どうしたんだ?そんな所で。親はいないのか?」


スティジャンは問う。

それに対して少年は横に首を振る。


「そうか、それは大変だなぁ。家良かったら行くか?」


正義感の強いスティジャンはこの少年を見捨てる訳には行かなかった。

スティジャンは少年を家に連れて行き、風呂に入るよう促した。あまりにボロボロで汚かったからだ。そうして少年が家に来てから1週間、彼が一言も喋ることはなかった。

あまりに喋らなかったので、スティジャンは彼に聞くことにした。


「名前は?」

「...シュラット。」

「そうか...いい名前だ...」


そこから無言だった。なんとも言えない空気に包まれ、耐え切れなくなったスティジャンは


「なんかしたいことはあるか?」


その一言でシュラットの表情が変わった。


「...!僕、強くなりたいんです!強くなって、魔王を倒して...あっごめんなさい...生意気ですよね...」


「いや、めちゃくちゃいい事じゃないか!強くなって魔王を倒すんだろ?俺な。そういう夢を持ってるやつが1番好きなんだよ。」


シュラットが再びシュンと表情を変えようとすると、スティジャンはそれを防ぐようにそう放った。


「シュラット!こうしちゃいれねぇ!俺がお前の師匠になってやる!俺な!こう見えて腕っぷしには自信あるんだ!お前を鍛えてやる!」


スティジャンはこの頃冒険者ではなかったので有名ではなかったが、既に魔王軍の四天王を倒せるぐらいの実力を持っていた。


「えっ...そんなっ僕みたいな奴が...いいんですか?」


「いいに決まってんだろ!ポジティブになろうぜ!ポジティブに!」


そう言い、スティジャンはシュラットを庭に連れてった。


「よっしゃあまずはお前は何を学びたい?」


「学ぶって何を?僕前住んでた所では何も教えて貰えなかったので...」


「それじゃあまずは剣術を学ぶか!これさえ身につければある程度の魔物は狩れるようになる!」


「でも...僕筋肉とかないし...剣も1度も触ったことないし...」


「なら尚更だ!1回でも剣を触ったら、その感覚が染み付いて教えて貰ってもそれが取れないのが大半なんだ!だから剣は最初から技を覚えればいい!俺もそのやり方だったからな!筋肉は自分でトレーニングするんだな。」


「わ、分かりました。頑張ってやってみます。」


だがしかしあまりに筋力があまりないせいで剣を持つのも一苦労みたいだ。


「ぐぐっ...!重いぃ...」


「ははっ!そりゃあ最初はそんな感じだろう!大丈夫俺もそんな感じだったから!よっしゃ早速模擬戦するぞ!」


「へっ?模擬戦?」


スティジャンによる地獄の修行が始まろうとしていた瞬間であった。



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弟子が英雄になって調子に乗っているので、痛い目に合わせます。 @y-10

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