My Territory

やきいも

第1話 色無しという存在

 「・・・えま・・か」

なんだって?

「えますか・・・?」

ああ

「きこえますか?」

ああ、聞こえているとも。

でも声が出せないんだ。

意識がハッキリした途端、私は五感を取り戻した。


***


「今の声は?」

定まらない視界の中でうめくように呟く。

ここはどこだろう。

体を起こしてみる。石畳の上に自分は立っている。辺りに人の気配はなく、かすかに水の流れる音が聞こえる。

「喉が渇いたな」

音のする方へ歩く。きっとそう遠くないはずだ。周りは少し暗いが、歩けないほどでもない。

「これは、、、、、飲めないな」

しばらく歩いて見つけた池を見て言った。誰が見ても分かる、飲めない。茶色というより、もはや黒と言うのが相応しい液体がそこには流れていた。果たしてこれは水なのだろうか・・・・

飲めないものは仕方ない。ならばここから出なくては。

道らしい道は目の前に1つだけある。でも・・・・

「でも、なぁ・・・」

道の入口のすぐそばに、革の鎧を纏った人だったものが転がっている。そのすぐ隣には使い込まれた片手剣とその鞘。とても近寄りたくない。しかし喉も渇いているし、背に腹は代えられない。覚悟を決めて足早に通り過ぎることにした。

「あいや、何かには使えるかもな」

通り過ぎてからそう言った私は来た道を引き返し、片手剣だけを拝借した。鎧も、と考えたが、遺体からわざわざ盗るのも申し訳なかったので諦めた。

さあ、脱出だ

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My Territory やきいも @raderadeko

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