才能ナキ者イソガバ回レ
※今回は100%私の愚痴で構成されています。不快な表現(驕った観測や見苦しい自己嫌悪など)も含まれていますがご了承ください。
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数日前、自分がおよそ一年前に書いた「Bad dancers」の第二話まで見て、思った。
何というか、こりゃ駄目だなぁ、と。
確か、この話の主題を決めた時のアイデアの発端は、「ラスト一日で少年少女のカップルのクレイジーなラブロマンス(?)書いたら面白いんじゃね?」という実に浅薄な発想によるものだった。この物語を執筆したのは一年も前のことになるが、なぜか着想を得た経緯だけはよく思い出せる。当時は我ながら最高のアイデアだと自画自賛したものだった。
しかし今、こうしてじっくり読んでみると、なんとも言えない「幼稚さ」がやけに目に付く。
理由は明快だ。本編全体がただの愚痴のようになってしまっているのだ。主人公がぶち撒けるやっかみや些細な不満が悪い意味で目につき、物語の序盤の時点で、登場人物が、今、何を考えてどのような行為を行っているかに集中できないのである。
………残念ながら、今の私の語彙力と洞察力ではそれ以上細かく論評できそうにない。もし、あのぐちゃぐちゃな文章の塊を読んでくれた物好きな方がいるのなら感想とダメ出し頼む(他人任せ)
発想自体は今でも悪くはなかったと思っている。ありきたりとも解釈できるが、SFやラブロマンスにおけるサブジャンルで「終末もの」「セカイ系」というジャンルは広く確立されているし、試しに一言二言検索欄に打ち込んで調べてみると、似たようなショートフィルムや作品が大量にヒットする。
ただ、(これを書いている今もだが)当時はそのアイデアを形にするだけのスキルがあまりにも不足していた。
指示語の使いすぎ、読者に優しくない段落の区切り方、難解な語彙の乱発、筆者自身の下らない見栄、痛いギャグ、寒いノリなど……。
もしこの素材を調理したのが私ではなくセンスある一流の作家であったのなら、きっとこの作品は素晴らしい作品に大変身していただろう。(どんな素材であっても一級品を作り上げるのが一流、とも言えるが。)
王道を王道足らしめ、かつその作品を名作として昇華させるのは、作者自身の豊富な知識をバックにしたあえての展開の斬新さ・意外さであると思う。
「年頃の男子と女子が死の迫った世界でイチャイチャする」世界観など、前述したように世の中に星の数ほど存在する。何なら私が作品を投稿した「カクヨム甲子園2024」内にもいくつか似たジャンルが見られたし、数年前の大会の優勝作品もこのジャンルであった(世界観のスケール自体はもっと狭かったが)覚えがある。
王道に沿った作品を作った上で読者に面白いと思わせるには、やはり幾らかの新鮮味が必須なのである。新鮮味を「面白さ」として認識できるよう作者はそれなりの数を読み込んで置かなければならないし、その新鮮さが果たして読者にウケるかどうか見極めるためにも、様々な知識を履修しなくてはならない。
とまぁ長々分かったつもりのように書いたが、私のその日の気づきはそれだけではなかった。むしろ、これで終わってくれたら私としても、「あぁ、自分は一年前と比べて、自分の悪い所が理解できるようになった。少しは成長出来たんだなぁ」と一旦区切りをつけられたのだ。
「Bad Dancers」を読んでしばらくげんなりした後、惰性でもう一つの方、即ち「逢い面」の方も読んでみたのだが……、
ことのほか、この文章はよく出来ていた。
本当に自分が書いたのかと疑ってしまうくらい。
この作品は「Bad Dancers」の執筆が終盤に近づいた頃に書き始めた。ロングストーリーだけでなくショートストーリー部門でも作品を投稿しようと思ったからである。幸いなことに、運営側の規則では投稿する作品の数に関して制限はなく、いざ二作品とも入賞せん、と勇んで自身の経験を元に猛スピードで書き始めた記憶がある。
ちなみに、こちらが落選した理由は前者と違いはっきりと分かっている。専門用語を使いすぎたのだ。
最終選考のお知らせのページに、毎年必ず審査員のコメントが載っているのだが、その中に「初めて読んでも読者の頭の中に入りやすいもの、分かりやすいものを選んだ」と記載されていた。言い換えれば、「読者(この場合は審査員)が簡単には理解できなかった作品」は、今回のカクヨム甲子園の中間選考の時点で落とされていたという事になる。
剣道には経験者でないと分からない用語・概念が他のスポーツに比べて圧倒的に多い。面・コテ・胴くらいなら知っている人も多いだろう。しかし抽象的な概念や技名の組み合わせなどは未経験者には分かるまい。
以前、朝のニュースで剣道の全国大会が紹介されていた時のこと。試合で優勝者が相手から一本を奪う瞬間のシーンが画面に映し出され、その目で追うのも難しい程の速さに戦々恐々としていると、母から、「剣道はただ竹刀を当てるだけじゃ駄目なんでしょ?」と言われた。
その通りである。細かい説明をすると脱線しそうなので省くが、テニスやバスケなどのスポーツと違い、剣道のみならず空手なども含めた武道には判定に少々曖昧な面がある。三人審判がいるのもそのためで、気迫や面に入った竹刀の深さなども考慮しなければ一本にならないのだ。
この辺りの難しい説明もしっかり指定の文字数内に収めた上で物語を書ききった猛者が最終選考まで生き残ったというわけだ。
読み返してみて分かったことだが、剣道のルールに精通していないと理解しがたい描写が多々あった。未経験者の方はそもそも便宜上赤と白に分かれて戦うことも知らないだろうし、決められた枠線の中で技を取り合うことも知らないだろう。テニスや水泳などはメジャーな競技であるから、何らかのワード(テニスコート・プールサイドなどの背景描写や、テニスラケット・水中ゴーグルなどの小道具描写)さえ入っていれば状況を簡単に把握できるが、剣道場あるいは竹刀と言われても大多数の人はピンと来ない……と思われる。多分。
私にはその意識がまるっきり欠けていたように思える。自分が満足して書き上げられたらそれで良いと本気で思い込んでいた。自分の熱意さえあれば相手に伝わると信じていた。「逢い面」を読んでくれた方にもコメントで指摘された事だが、そこに読者視点の思考の余地はなく、私の熱意(あるいは自己満足)だけが作品を余す所なく占有していた。
では、意識すれば読者視点の発想も簡単に活かせるのかというと、やはりそう上手くはいかない。これを書いている今の私が体現しているように、自身の思考をただ垂れ流すことしか出来ない。「水をくれ」と言っている人に、考えなしに塩水を流し込むようなもので、相手の視点に立って物事を考えるという姿勢と経験が実生活においても私には足りていないのである。
……とはいえ、「逢い面」の方はそれなりに成功した。剣道に関しての知識を十分に保持していたからだろう。私からしたら勿体ないくらいの高評価を頂けた。
結論は一つである。
「好き嫌いせず多数の作品を考えながら読む。」
私の好きな言葉の一つに、刃牙の範馬勇次郎の名言がある。
「毒も喰らう、栄養も喰らう。両方を共に美味いと感じ―――血肉に変える度量こそが食には肝要だ。」
これは偏った食事ばかり摂っていた刃牙を(一応)父親の勇次郎が嗜めるシーンである。私はこのセリフが食事や肉体的強さにおける姿勢だけでなく、すべての物事において何かを洗練する際に当てはまると思う。良い作品を書くにはなりふり構わず多種多様な作品をひたすら読み解くしかないのだ。その過程で様々な気づきや智慧が得られるだろうし、文章の書き方という初歩的な技術も自ずと身についていくと思われる。
また、自身は所詮「天才」ではなく「秀才」ですらない「普通の一般人」であるという事実も強く胸に刻み付けなくてはならない。高校生や大学生でデビューした作家を見れば嫌でも分かることだが、残念ながら私はそこまでの感性や技術を持ち得ていない……と思われる(希望的観測)。つまり今必死でやっている勉学と同じく、努力なくしては素晴らしい作品というものは作れないのだ。幸いにして、私は「適正」はあると信じている。適正もない人間だったらそもそもカクヨムに登録して作品を応募など面倒な事はしないからだ。
才能も無いクセに理由なく拘り続けられる所も私の持ち味だと信じている。なぜかは分からないがどうしても止めようという気にはなれない。脳は(例えそれが勉強中でも)創作を勝手に生み出し、有り難いことに手も気後れすることなく動いてくれるのだ。根本原因が釈然とせずに辛うじて上手く回っているものほど、ある日突然出来なくなった時に恐ろしいものはないが、今はもう少しだけ自分を信じてみることにしよう。
――取り敢えず、今は勉強。上記の結論も私の言い分も、全てこの回答に終止する。
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開示された模試の結果(数学と化学)が上手くいかず、何だかイライラして過去の自身の作品と大賞受賞作まで流れで見てしまったところ、メンタルが壊滅。「クソォオオォアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」と発狂していたら一晩で大体出来上がってしまいました。勉 強 を し ろ(迫真)
既にノートの方でお気持ち表明していたので、こんなものを投稿するか悩むに悩み、それから1週間ほど経ってしまいました。まぁ読む人も少ないわけだしデジタルタトゥーには成り得ないだろうと判断しました()
9月に入ったと思ったらもう終盤。この先3ヶ月はどうなるのやら……
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