第11話 約束

7月6日 14時 新大阪大学 特別研究室


アントは友達のアンディーにラインをしていた。


           おはよう!

           既読 7:10


おはよう!今日もいい天気だ!

8:00


いまから仕事だから12時までは

返さないからなー

8:00

          

了解だ!

           既読9:00


やっと昼飯だー

12:03


           おつかれ、今日の弁

           当も焦げてるのか?

           既読12:10


当たり前だ!

12:30


           そうか笑

           12:30


それよりアント約束は

覚えてるな?

12:40


           覚えてるよありがと

           うアンディーも気を

           付けて

           12:50


このラインを最後に2人は連絡をしなくなった。そしてアントはたまたま研究室にいたメアリーに話しかけた。


「ねぇーメアリー、、頼みがあるんだけど、

その、食料を買ってきて欲しいんだ。」


「え?うん、いいけど。なにが欲しいの?」


「長持ちするものが良い、それも沢山。」


「どう言う事?」


メアリーは、アントのしたいことが分からなかったが、アントは少し焦っているように見えた。


「しばらく、ここに住まないといけないかもしれない、、ねぇ早くあ、やっぱ僕が買ってくる。メアリーはみんなを集めといて。」


「え!う、うん。分かった気をつけてね。」


アントはすぐ近くのスーパーへ急いだ。

それを見送った後メアリーはとりあえず、みんなに研究室に来るよう連絡をしてアントが帰るまで研究室で待つことにした。


和也と愛と篠崎は、地下の研究所で「AUS」を使った治療で空く体の穴をすぐ塞いだり、AUSの死骸が、愛と同じように体の細胞と結合するのを防げる薬を作る為に研究所に缶詰状態だったので、残るはフランシスとアリスだった。

 

7月6日 17時


アリスはメアリーからの連絡で研究室にいた。そしてフランシスがちょうどそこに帰って来た。


「ただいま〜。あれ?あの3人はまだ研究してるのかい?まったく、日本人には日曜日はないのかねぇ?」


フランシスが皮肉を言っているとそこに両手に大荷物を持ったアントが帰ってきた。


「アント遅いわよ!レディ〜を待たせるなんてほんとダメなんだから。」


とアリスがアントに怒った。


「買い物に時間が思ったよりかかっちゃって、、ごめん」


そう言いながらアントは机に荷物を置いた。

アントが買って来た多量の食料を見てフランシスとアリスはとても驚いた。


「おい、アント何だよこれ?なんでこんなに食料があるんだ?それも、米やら缶パンやビスケット、栄養補助食まで。これ何日分だよ?」


「とりあえず、2週間分だよ、、僕が買える分ありったけ買って来た。

まだあるんだ、ちょっと手伝ってくれないかな?」


それを聞いた全員が驚いた。そこに、メアリーに呼ばれて研究所にいた3人も上がってきたが大量の非常食に驚いていた。


「いったい何する気なんだ?まさか缶詰状態で研究するとか言うんじゃないだろうな?

俺は2週間もいやだぞ!来週は彼女とデートもあるし、第一俺の国ではそんな働き方しない!」


フランシスが大声で拒むとアントはみんなを見て話し出した。


「違うんだ、そう言うわけじゃない!」


「じゃあなんだよ?」


「えっと、、その、皆んなこれから2週間地下の研究所に一緒に避難してくれないかな?」


「は?どう言う意味だよ?」


全員がフランシスと同じ考えだった。アントは何を言っているんだ?皆んなの不思議がっている顔を見てアントは少し下を向いたが、勇気を出してまた皆んなの顔を見て説明を始めた。


「僕にはアンディーっていう友達がオーストラリアにいるだ。僕はアンディーに昨日のニュースを見て心配だったから連絡をした。そしたらアディーは無事で周りもいつも通りだって言ってくれたんだけど、、話の中で変なことを言ってたんだ。


近くの海で魚が死んでたって。


どういうこと?って聞くと、地元の漁師が噂をしてたって言ってた。

実際見たかわ分からないけど、そう言ってたらしい。

でもそれから、魚が死んでたって言ってた漁師が何処かに行って姿がないらしんだ。」


時は少し前、アンディーとアントが電話をしていた昨日の15時頃にもどる。


「消えた?どういうこと?」


「わからない、でも今日は誰も見てないって言ってた。」


「そうなんだ、、。で、そっちの海は大丈夫?」


「わからない見に行けないから、でも、魚が死んだってのと海に近づくなってのはきっと繋がっている。なぁアントあれ悪い予感がするんだ。」


アンディーの言葉を聞いてアントは、全身に電流が走った気がした。

アンディーの悪い予感は当たる。しかもほぼ100%

アンディーは昔悪い事ばかりしていたから学校で問題児だった。

でも、先生にはいつも気付かれなかった。気付かれるとしたら、仲間達と悪いことをしている時仲間を見捨てれず助けようとした時くらいだ。

アンディーは勘がいいそれも、悪いことにたいしては特に良かった。


「魚が死んだのは、海が彗星で汚染されたからだろ?だから近づくなって言ってたんじゃないか?」


「じゃあどうして汚染のことは世界中で知られてる事なのにその漁師はいなくなったんだ?」


「それは、、」


「ニュースを見ても汚染としか言っていないし、インターネットでも詳しいことはわからない。誰かが海で魚が死んでた事を隠してる。それが誰で何の為か分からないでも、被害が出るならこっち(オーストラリア)がさきだ。

何かあればアントにすぐ伝える。でも、もし俺が噂を流した人のように連れて行かれたり、サーバーの管理に引っかかると伝えれない。だから準備してくれ。」


「準備?」


「あぁ、そうだ!お前の住んでる所に避難できる所はないか?できれば外と隔離出来るところが良い。もし、汚染ではなく病気とかならその方がいいからな。」


「病気、、と、とにかくそれならこの大学だよ!ここの研究所なら外と完全に隔離できる。」


「よし!なら俺が半日なんの連絡もしなかったり、何か合図したらありったけの食料を持ってそこに逃げろ!何もなければそれでいいが何かあってからじゃダメだ!」


「わかった、、アンディーも気をつけて、、」


「あぁ!約束だ!また2人で会おう!」


「うん!そうだ、合図は約束にしよう!」


「それいいな!よし、それでいこう!」


と言う話があり、アントはアンディーからの合図を受けありったけの食料を用意した事、これから研究室を緊急封鎖すること、そしてその封鎖を開ける鍵を盗んだことを話した。


「つまり、僕はアンディーの言ってたとおり合図が来たから避難の準備を進めてたんだ。

みんなここに居てよ」


アントの話を聞いてフランシスは呆れていた。


「お前それ本当に信じてるのか?そのオーストラリアの友達も妄想が好きみたいだけど、お前そいつに、からかわれてるんじょないのか?」


アントは、フランシスのバカにしたような言い方に少しイラつきながら言い返した。


「そんなんじゃない!アンディーは僕らのリーダーなんだ!昔から僕らを引っ張ってくれるし、何があっても僕らを見捨てたりしなかった。僕はアンディーを信じてるんだ!」


「そうかよ、でも俺は信じられないな。ニュースを見た限りでは海に近づかなければ良いんだろ?俺が住んでるところは、海から遠いし俺も彼女も海には行かないからな。」


フランシスの意見を聞いてアリスも同じく予定を理由に残るのを断った。

2人が残らないのを見てアントは焦った。


「そんなこと言わないでここに居てよ!絶対ここにいる方が良いって。

そうだ、フランシスの彼女も連れて来れば良いじゃないか、アリスも1人か2人なら友達連れてきていいから。」


アントがあまりにしつこいのでフランシスは怒った。


「いい加減にしろよアント!俺はそんななんの証拠も無いことのためになんで2週間もここに居ないといけないんだよ?」


「だから言ってるだろ、地球の危機かも知れないんだよ、だから2週間だけ避難してって言ってるんだよ、、」


「地球の危機?バカかよ、そんなこといまの人類の科学力あり得るわけないだろ?

天災さえ予想できるんだぞ?」


「バカじゃない!僕はアンディーを信じてるんだ!」


「あー都市伝説好きな友達のことか?」


「お前!」


2人がいまにも取っ組み合いの喧嘩をはじめかけた時、和也が間に入った。


「2人ともこんなことするなよ。」


そう言いながら2人をなだめ喧嘩は止まったがフランシスは「俺は残らないからな!」と言って研究室を出た。

それを見てアリスも「アント私も力になれない、ごめん!」と言って急いで皆んなのカバン置き場に行って自分のカバンを持って足早に出て行った。

この出来事がみんなの運命を分かるとは誰も思いもしなかった。


2人が出て行った後アントの顔は怒っていると言うより少し悲しそうだった。

和也はその顔を見て昔の自分を思い出した。


もうずっと前のこと、自分の意見を誰も理解してくれなかった昔の頃。


(あぁー、俺も昔はあんな顔をしていたのだろう。そしてその顔がどいつもこいつも気に入らなかったんだろうな。)


そう思いながら和也はアントに歩み寄った。


「なぁアント、急にこんなこと言ったってそりゃ信じにくいと思うぜ?」


その言葉を聞いてアントは「お前もか!」と言うような表情で和也を見た。

それに気づいて和也は、優しく話を続けた。


「でも、友達のことをこれだけ信じてここまで出来るのは凄いと思う。

だからよ、俺は2週間ここに一緒にいるよ。あいつらはどうせ2、3日帰って来ないだろうから1人じゃ暇だろ?

それに、俺ちょうど研究に集中したかったんだ!ちょうどいい、食料ありがとな!」


そんな和也を見て愛もアントのそばに行き

「私もここに残る。ここに長い間泊まるのはなれてるし。」と言った。そんな2人を見て篠崎とメアリーも残ることに決めた。

アントは嬉しくて少し涙を流したのを見て「おい、なに泣いてるんだよ!」と茶化した。

涙を拭くとアントは、まだ外に荷物があることをみんなに伝えて外に取りに行った。

研究室に残ることになった、5人と研究所付属のPN(ペッパー・ノーマル)で手分けして中に運んだ。その頃にはアントの顔には笑顔が戻っていた。












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