第24話

 家に帰ると、既に紗那絵が帰ってきていた。

「おー、しぃちゃんお帰り……あれ、深月さん⁉」

 リビングに入った途端、紗那絵は座っていたソファから飛び上がるようにして、こちらに駆け付けた。心配そうに眉を寄せている。

「下校中に体調が優れなくなってな。家で休んでいった方がいいと思って。深月は、帰っても一人だしな」

「大丈夫?ここ、座って」

 俺と紗那絵は、深月の身体を支えるようにしながら、ソファへと誘った。

 深月はソファに横になると、瞼を閉じて眠ってしまった。顔の血色は良くなっており、呼吸は浅いが、規則的で駅前で休んでいた状態からは幾分か回復しているようだった。

「紗那絵。深月を見ておいてくれ。俺は夕食作るから」

 俺は、紗那絵に小声でそう言った。紗那絵は無言のまま、頷きで返答してくれた。

 俺は紗那絵に深月の看病を任せて、夕食を作りはじめた。ご飯は炊いてあるので、深月用には消化によさそうな、鶏肉入りの卵入り雑炊を作って、あとは三人分のオムライスを作った。

 夕食が完成したところで、ちょうど深月が目を覚ました。

 飾利は残業らしく、帰って来なさそうだったので、俺たちは三人で夕食をとった。深月の体調不良という、決して喜ばしい状況ではないが、この三人での夕食も、数日経っただけでなんだか懐かしいものに感じられた。

「大丈夫なの、深月さん。病院とか」

「そこまで悪い訳じゃないから、問題ないわ。心配してくれて、ありがとう」

 不安そうな紗那絵に、宵待は微笑んだ。しかし、その笑顔には余計な力が入っているようで、つまりは俺には、どこか無理やり作った笑顔のように見えた。

「どうだ?食えるか?」

「うん、おいしい」

「よかった」

 食事をとることはできるようだった。彼女に強いられた犠牲、というものが、具体的に身体状態にどのような影響を及ぼしているのかは分からないが、食事が取れれば、じきに元気も取り戻せるだろう。


 夕食後、紗那絵はあいつなりに深月を休ませておこうと気を遣ったのか、早々に自室に退散していった。もちろん、俺にくぎを刺すことも忘れていなかったが。

「私は部屋に戻るけど、深月さんをしっかり看病しなさいよね。……でも、何か手伝いがあれば、いつでも呼んでくれていいから」

 紗那絵はなんだかんだ、俺には手厳しいことを言うが、いざという時はいつでも手助けする準備をしている。

 俺の妹ながら、出来た人間だ。


 俺たちはというと、テーブルを挟んで対面する二人掛けのソファのそれぞれに座って、音を絞ったニュースを聞いていた。

「なにからなにまで、お世話になってばかりね」

 ニュースに一区切りついたところで、不意に深月が言った。その声の調子は、いつもの深月だった。

「まあ、たまにはいいんじゃないか」

 俺は適当に返した。お世話なんて、ひとつひとつ、借りたり貸したりしてくれなくていい。

 それから、しばしの沈黙があった。アナウンサーのニュースを読み上げる声だけが、リビングの音だった。

「ちゃんと話しておきたいのだけど、いいかしら」

「ああ」

 俺は返事をして、テレビのリモコンを取り、テレビを消した。深月の方に向き直ると、彼女もまた、俺を正面から見据えていた。

「まず、今日のことだけれど。……変な事に巻き込んでごめんなさい」

「気にするな。深月は、そうしないと危ういと感じたから、そう行動したんだろう。俺がその選択に口をはさむことは無い」

 それは、深月を励ますための嘘ではなく、俺の本心だった。俺は俺が持たない感覚に対して、俺以上に鋭敏な感覚を持っている深月より好ましい選択ができるとは思えなかった。

「あの、ワンダーワールドとかいうのは、相当に負担なんだな」

 彼女の様子を見ていれば当然わかる。

 俺はあの空間の異質さを十分に感じ取るほど長くいたわけではないが、あの空間そのものか、あるいは空間の出入りは、彼女に多くの負担をもたらすのだろう。だからこそ、今までこの能力を、彼女は俺に見せなかった。

「ええ。ただ私は医者ではないから……あの行為によって私の身体に具体的に何が起きているかは分からない。そして」

 深月はそこで言葉を切った。

 彼女が軽く唇を噛んだのが分かった。

「そして、私が体感する負担だけが、犠牲ではないわ。私は、あの世界の出入りで、おそらく記憶を欠落させている。いつの、何の記憶なのかは、思い出そうとして初めてわかる。例えば、昨日と三日前の夕食は覚えているのに、二日前の夕食だけ不思議と欠落している、というように」

 俺の鼓動は急激に早くなった。血の気が引いていく思いがした。

 深月は、異空間からの脱出のために、自らがそれだけのリスクを負う覚悟をわずかな間で決めていたのだ。

 詳細の分かっていない未知の身体異常など、好き好んで選び取る犠牲ではないはずだ。それは、猛毒の蛇がいるかもしれないブラックボックスに腕を突っ込むようなものだ。

 それでも、深月がその選択をした理由は明白だ。

 深月自身の身を守るためだけではない、ほかならぬ俺を守るためだ。

 彼女は、俺が怒るかもしれないから先に謝る、と言った。その意味することは、そういうことだ。

 なぜ人の分まで、勝手に犠牲を背負い込もうとするのか。

 確かに俺は、憤りを感じた。彼女は、彼女自身を大切にするべきだと、今でも思っている。

 それでも、今、やつれた彼女を責める気にはなれず、その選択をした彼女の気持ちを優先したかった。

「記憶は、どれくらいの期間分、欠損するんだ」

 だから俺は、憤りを隠すように、他のことを深月に尋ねた。

「記憶の欠落の程度は分からないわ。こんなこと、自分の身体で調べようとも思わないから」

「……すまん」

「謝ることなんてないわ。これは私の選択だもの。いつか、あなたが言ったように、私の行動の責任はすべて、私が持つの」

 それでも俺は、自分を責めた。

 深月に、自分を犠牲にさせる選択肢を取らせてしまったことに。たとえ、それ以外に選択肢が無かったのだとしても、その選択に彼女が納得していたのだとしても。

「これが、私の知っていることの全てよ。そして私は……できることなら、この力をもう使いたくない。今回、九夜くんにこの話をしたのは、こうした私達の武器も含めて、今後の方策を考えたかった」

 彼女は、武器、と言った。

 俺は、その言葉を聞いて目頭が熱を帯びたのが分かった。その力は確かに最終兵器には違いなかったが、彼女がまるで自らを、利便性だけを追求する道具や手段かのように例えた事に、胸が締め付けられた。

 俺は、彼女が彼女であることを大切にして欲しい。この気持ちは、どうしたら、彼女に届いてくれるだろう。

 口に出そうになったその想いを押し込めて、俺は深月に尋ねた。

「そういえば、あの電車は、なんだったんだ?」

 深月は、顎先に指をあてて考えるような仕草をして言った。

「……簡単に言えば、現空間に同時的に存在する相互不干渉領域、俗にいう異空間のような物かしら。外からはただの電車に見えるけれど、内部は異空間化していたわ」

「あれは、ワンダーワールドとは別のものということか」

「そうね。例の空間を、電車空間と呼ぶことにしましょう。ワンダーワールドとは、この世界に入り口こそ持つものの、その領域は完全に独立した世界と考えているわ。ワンダーワールドの権限はすべて創造主に委ねられる。生物も、物理法則すら自由自在の空間であり、この世界のどこでもない。一方で、電車空間は、この世界と地続きの空間だったわ。絵で描くと……」

 そう言って、深月は自分の鞄からボールペンとルーズリーフを取り出し、テーブルの上にルーズリーフを置いて、ボールペンを走らせた。

「数学的表現なら、この世界、という全体集合の中に、私たちの生活という部分集合Aと、電車空間という部分集合Bが部分的に重なり合って存在するイメージになるのかしら。ワンダーワールドは、全体集合の外に存在する、部分集合Cね。ただ厳密には、この世界とワンダーワールドは線で繋がっているから、行き来ができる、と。体系だった理論が在る訳じゃなく、私の感覚だけどね」

 いつぞや勉強したことのあるベン図を使った説明は、非常に分かりやすかった。

「俺たちは、誰かが画策した電車空間に意図的に入れられたわけか?」

 俺の問いかけに対して、深月は両手でペンをもって弄びながら、小さく頷いた。

「と、思う。ただそう考えると、異空間に入れるだけ入れておいて、なぜ私たちにそれ以外の干渉を何もしなかったのか、というのが腑に落ちないわ。干渉できなかった、ということなのかもしれないけれど」

「その理由は、干渉しなかった、と考えていいんじゃないか。目的が干渉なんだとしたら、なぜ干渉できないような異空間に呼び込んだのか、説明がつかない。俺が首謀者だとしたら、当然、干渉したいと思うなら干渉できる環境を用意する」

「なんだか、西極くんらしい考え方ね」

「あいつの思考法は結構役に立つぜ」

「じゃあ、干渉しなかった理由は何かしら。干渉する必要が無かった、ということよね」

 そうなると、どうなる。異空間に呼び込むだけ呼び込んでおいて、干渉する必要が無い、という状況。それはつまり。

「異空間に呼び込むこと自体が目的だったわけか」

「私も、今同じように考えていたわ。首謀者の目的は、私たちを異空間に呼び込むこと自体にあったか、あるいは、呼び込んでからにあったのか、ね」

 呼び込むこと自体が目的とすれば、異空間の性能を実験したかった、ということだろうか。呼び込んでからの状況が目的であったとすれば、干渉が無かったことを踏まえると、首謀者は俺たちの自発的な行動に興味があったことになる。

「つまり、俺たちは実験として、あの異空間に入れられたのか、俺たちの自発的な行動を監視することが目的だったのか……か」

「あるいはその先。私たちの行動の結果の方に、何らかの目的があったのかもしれないわ」

 深月はそう言うと、疲れたような顔をして息を吐いた。多くを喋って疲れたのだろう。今日は、彼女に助けられた。

 彼女の、能力によって――。

「――俺たちは、まんまと首謀者の策略に嵌められたか」

「……おそらくそうね、意地の悪いやり方で気に食わないけど」

「首謀者は……俺たち二人のうち、どちらを標的にしたのか分からないが、俺たちの手の内を探りたかった。あるいは、消耗を狙いたかった、そういうことだな」

「そうなのだとすれば、あまり次の一手まで時間はないわね。全てを見ていたなら、私たちの限界も、おおよその検討が付いたはずだから」

 脇の下を冷たい汗が伝っていく感覚があった。

 もし、この仮定が正しければ、俺たちを狙っている相手は、俺たちの手の内を知ったことで、いつ再び襲い掛かってきてもおかしくない。今すぐにだって。

 深月もまた、同じことを考えているようだった。口を真一文字に結んで、苦々しくテーブルの上を見つめている。

 リビングから、物音が失われていた。

 突如、電話の着信音が鳴ったせいで、俺は思わず飛び上がった。

「っと、誰だ」

 電話の主は飾利だった。終電が無くなったので、会社の近くで宿をとって、泊ってくるそうだった。忙しいようで、頭が下がる。

 言われてみてようやく気が付いたのだが、夕食を食べてからすでにかなりの時間がたっていた。

 電話を切ると、俺は深月に促した。

「もうこんな時間だ。また明日、喜兵とも相談してみよう。送っていくから、今日は帰った方がいい」

「……ふふ」

 深月は、なぜだか押し殺したように笑っていた。

「なんで笑ってんの」

「九夜くんは、興味のない人間には徹底的に冷たいのに、親しい人間には、情が厚いのだと思ってね」

「……そんなもんだろ、みんな。見ず知らずの他人のために死んでもいいと思うやつはなかなか居なくても、家族のためなら死んでもいいと思うやつは、それなりに居ると思うぜ」

「ええ、そうね。ただ、私があなたにとって親しい人間になれたようで……嬉しくて、可笑しくて」

 深月はそう言ってから、ソファから立ち上がって制服のスカートの皺を広げ、伸びをした。

「私も、少し疲れた。久々に泊ってもいいかしら」

 実を言うと俺は、帰宅を促した時点でそういう展開になるような気がしていた。

「まあ、深月を送って帰ってくるのも面倒だと思ってたところだ。深月がそれでいいなら、俺はかまわないが」

「それじゃあ、お言葉に甘えてお世話になるわ」

 俺たちは、紗那絵の部屋に行って深月用の寝巻を借り受け、徹夜で勉強をするのだと紗那絵に言って、リビングで寝ることにした。

 俺は別に自室で良いだろう、と言ったのだが、何か未知の敵に襲われた時、そばにいた方が対応が楽なのだという深月の食い下がりに負け、二つあるソファにそれぞれ寝ることにした。

「電気、消すぞ」

「ええ」

 ソファの脇の照明用リモコンを使って、俺は電気を消灯した。

「全部消しちゃうんだ」

「常夜灯でも寝つきが悪いんだ、俺は」

「まあ、いいけど」

 暗闇の中で深月が聞こえるのが、なんとも不思議な心地がした。

 真っ暗なリビングで、時計の秒針が時を刻む音と、時折車が、家の外を通り過ぎていく音、それ以外は、静かな呼吸の音が聞こえている。

 頭の中を、今日あった色々な出来事が駆け抜けていった。

 今日も疲れた。それに、よく分からない未来に対する不安もある。

 でも、この疲労は心地よい疲労に感じられる。

 深月や、真帆や、向島と関わることが無ければ、俺はきっと静かに、今日も一人で早々と寝ていたんだろうな。

 ……どっちが良いか悪いかなんて、決められるもんじゃないが。

「ねえ、まだ起きてる?」

 暗闇が、か細い声で喋った。

「……」

 俺は少し、黙ってやろうと思った。いつも俺は深月にやり込められている気がするので、意地悪をしてやろうという魂胆だ。

「起きてるでしょ」

「……」

「寝ちゃったかしら」

「……」

「本当に寝たの?」

「……」

「……私ね、子どもの頃、修学旅行が苦手だったの」

 何かが始まったようである。

 俺は必死で、規則的な呼吸を意識した。

「転校して周りに馴染めないままの旅行が、嫌で仕方なかった。一人で居たくても、みんなで一緒にどこかへ行ったり、同じ部屋で寝なくちゃいけないでしょう?私は真っ先に布団に入って、皆の会話を聞きながら、煩いから早く寝てくれないかな、って、暗い気持ちになってた。でも、今になると、あの子たちの気持ちが分かる気がする。たぶん、今の私と同じ気持ち」

 どうやら、俺の負けは必至のようだった。

「俺だって、似たようなもんさ」

「ほら、起きてた」

 くすくすと笑う声が、すぐ隣で聞こえてくるような気がする。

「なんかくすぐったい」

 俺は、声を出してしまった。

「真っ暗な空間で話すのは、わくわくしない?」

「わからなくもない」

「ね。思うのだけど、人は普段、視覚に多くを頼ってるのよね」

「メラビアンの法則ってやつだな」

「そう。だから、暗闇になった途端、情報は聴覚と、言葉そのものだけになる。顔や行動が見えると感情が分かるから、言葉も予測できちゃうけれど、暗闇では、私たちは言葉を言葉として初めて意識する。だから、冒険みたいにわくわくするんじゃないかって」

「一理あるかも」

「でしょう」

 もしかして、いやもしかしなくとも、深月は修学旅行ごっこがしたくて、俺がリビングで寝るように仕向けたのだろうか。

 深月がその気なら、俺は負けてやるつもりはない。真っ向から戦ってやろうではないか。

「それで、深月さんはまだまだ冒険したりないと?」

「聞かなくても分からないかしら?」

 心なしか、声が弾んでいるように聞こえる。

「言葉にしなきゃ、分かんないことだってあるさ」

 俺は月並みなことを言った。

「話し足りない」

「……」

「なんで黙るのよ。言葉にしたから、よく伝わったでしょう」

「いやに素直だと思って」

「きっと、これも暗闇の効果だわ。暗闇は、人と人との心理的距離を近づけて、心を開かせる効果がある。思えば、物理的距離で話しやすさって違うわよね。遠い人には話しかけ辛いけど、近くにいる人には話しかけやすい。物理的距離と心理的距離は比例する。一方で暗闇では、物理的距離が限りなくゼロに近いと錯覚するから、何でも話しちゃうのかも」

 あまりにも明け透けに喋りすぎて、明日になって恥ずかしくなっていないと良いのだが。

「今度から誰かと話をするときは、暗闇の方が良いんじゃないか?」

「そうね。一考の余地がありそう」

 ないだろ。モグラにでもなるつもりなのか。

「問題は、どうやって相手を暗闇に誘い込むか、よね」

「殺し屋だったのか?」

「女は、目で殺すのよ」

「暗闇じゃあ無能だな」

「……確かに。というか、私ばかり話してないかしら。九夜くんも何か話してよ」

「何かと言われてもな。オープンクエッションには弱いんだ。何かテーマをくれよ」

「そうねえ」

 深月は少しの間、沈黙した。

「どうしたら恋人ができるか、とか」

「知らん。そういうのは、恋人がいる人間に聞くべきだ」

「逃げるのね。卑怯だわ」

 面倒くさいやつだ。

「しようがない。俺が西極喜兵風に、結論を導いてやろう」

 俺は、まどろみかけた頭で喜兵を思い浮かべた。

「まずは、恋人、といっても当然人と人との付き合いなのだから、知り合わねば始まらん。多くの人と知り合うことで、その分、恋人予備軍は増えていく。交友関係を広げるのが、まず第一だ」

「へえ、それで?」

「次。交友関係を広げた後は、関係構築に移る。関係構築に当たっては、まず目的を考える。恋人とは、恋人同士であるという相互承諾によってはじめて恋人たり得るわけだ。となれば、恋人である、という承諾を得られる状況に、関係性を遷移する、というのが関係構築の目的になる」

「なんだか胡乱な議論。何か言っているようで何も言っていないわ」

 うるせえ。文句を言うなら振るな。

「……ふふ、胡乱な議論」

 なにやら、その言葉が気に入ったらしく。押し殺した笑いがしばらく続いていた。

「次のテーマは、子どもの頃の思い出、にしましょう。どうそ」

 深月は、勝手に終わらせて勝手に新しい話題を作り上げていた。酔っ払った飾利によく似ている気がする。

「思い出ね。おれは、小学生の頃に剣道をやっていたんだが」

「へえ、意外だわ。暗渠でモヤシでも育てていたのかと思った」

 暗渠でモヤシを育てている全世界の小学生に謝れ。

「別に他意はないわよ。モヤシはヘルシーでおいしいし、モヤシ料理は好きだわ。家でモヤシが作れたら、いいわよね」

 そんな他愛もない会話に付き合っているうちに、いつの間にかカーテンの隙間は白くなり始めていて、さすがにその頃になると深月は寝落ちしていた。

 戦いに勝ったはずの俺は、勝利を噛み締める間もなく、猛烈な睡魔に襲われて闇に引きずり込まれた。

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