第35話 元の世界へ帰還

僕はゲームのようにDeleteで消えていく騎士達の姿に戸惑った。

「イケ、これは現実だよな。」

「そうだ。ここは地球じゃない。

学校でもない。異世界だ。

ただし、こちら側の住人達に言わせると僕らが異世界人だ。」

そうだった。僕らはパブロ騎士候補のスカウトでやって来た。

「どうした?二条。さっさとガヤ王国との同盟締結させて帰ろうぜ。学校へ。もう、いいだろう。いつもの日常。退屈ぐらいでちょうどいいと思うぞ。高2の学校生活も悪くない。」

「そうだな、イケ。軽い気持ちであの時、パブロのスカウトを受けてしまった。目の前のDeleteで消えていく戦士の姿をみてしまったら、なんか、覚めてしまった。」

「そうか。それはそれで、いいんじゃないか。しかし、上崎はどうする?おいていくのか?」

「そうだな。はじめはこちら側に連れ戻して、元の世界、学校へ戻そうと思ったが、やめた。今はその気持ちはない。」

「そうか。二条の好きにするがいいさ。

僕は任務終了後に戻る。そう、決めている。」

「キャロルはどうするんだ?今度は結構、本気なんじゃないか?おいていくのか?」

「うーん?待て二条、僕は女子に対しては、いつでも本気なんだぞ。」

「そうだったな。」

「あと、上崎とのキスについては悪い。

気持ちは、ない。魔術のせいだ。」

「分かってる。パウロのデーターじゃないけど、イケの女子へのふられ率38%。ただし覚醒後は魅了100%その魔術の力だ。イケは悪くないさ。」

「二条、えらく素直だな。気持ち悪いな。」

「そうか?イケのことは分かっている。僕らは、どこにいても。いつも通りさ。

さっさと終わらせるぞ。

もどったら、期末テストが待ってる。」

「そうだな。Deleteに比べたらテスト勉強なんか、大したことないさ。」

「そうだ。」

離れてウサギが僕らを見守っている。

ウサギが「じゃあ、本気で戦うぞ。二条、イケついてこい。」

僕らは駆けつけたパウロ達と共に敵との激闘を始めた。

ウサギが叫ぶ「魔術発動全快だ。二条!」

光線があたりを埋め尽くす。

光の輪が敵のカラダを拘束する。

魔術師マハ、司令官ケイゴ、上崎、スパイのザルがガヤ王の前に。

キャロルが「ガヤ王、これでお分かりになったでしょう。」

ガヤ王国との同盟は締結。

「敵の彼らはどうなるんだ?」

「リプア王国との交渉材料にする。」

別れ際「上崎、僕らは、元の世界に戻る。上崎も帰らないか?」

「私のことは忘れて。」

振り返らず王宮を出た。

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