第29話 なぜだ上崎。異世界にいるのか

光の中に上崎と司令官K、ケイゴが消えた。

ウサギが「2人共、ボーっとするな。

周りを見ろ。まずはケガ人の手当てが一番だ。」

ウサギの言う通りだ。市場にいた人達がケガをしている。

さっきのクレプのお店のお姉さんも倒れている。

僕は叫ぶ「ウサギ、手当ってどうするんだ。包帯も何もないぞ。」

ウサギが叫び返す。「二条、イケ、手をかざせ。傷口がふさぐイメージをつくれ。」

イケが「ウサギ、こうか?」

僕もイメージしてみた。キラキラと緑の優しい色の光が僕らの手から放たれた。

ウサギも治癒魔法をかけなが忙しく飛び回っている。

「二条、イケ、それだ。その調子だ。」

「わかった。」

まずは重傷者。それから小さい子供、お年寄り。人々の中には無傷の人達もいた。

僕は叫んだ。こういうときは連帯感が芽生える。

「元気な方はお手伝いを。治癒魔法が使える方は、お願いします。」

恐怖と傷ついた中で人々の顔に活気が戻る。

市場の人達はみんな元気で威勢がいい。「みんな、やるわよ。負傷者は噴水前の広場に。毛布は・・・」

大きな声がかぶさる。「毛布は商人ギルドが用意しています。」

「商人ギルドのカイルさん。」みんながホッとした顔になる。

ギルマスのカイルは人々からの信頼があついようだ。

パブロも治癒魔法を行いながら「二条、イケよく頑張った。もうすぐ、パトリ達もここに来る。」

「ありがとうございます。」

ほどなく、みんなも集まり、ほぼ負傷者の手当てが終わった。

パブロが「みんな、一度ギルドにもどってくれ。」

「はい。」

僕らが歩き出した時にクレプのお姉さんが「君達、助けてくれてありがとう。」

僕とイケは立ち止まり「大丈夫です。当たり前のことをしただけです。」

お姉さんは「君達このクレプのことをさっきクレープって伸ばして言ってたでしょう?」

「はい。僕らの故郷にも似たものがありまして。」

クレプのお姉さんは少し小さな声で「もしかして君達の故郷って地球?」

「はい。」

「そうなの。うれしいな。この屋台のクレプを作ったのは私のひいおじいちゃんなの。ひいおじいちゃんがこっそり教えてくれたの。地球という異世界の星から来たってね。母さんたちは信じていなかったみたいだけどね。地球はあるのね。」

「はい。あります。きれいな青い星ですよ。」

パブロが僕らを呼ぶ。「おーい、二条、イケ戻るぞ。」

「はーい。」

「君達、助けてくれてありがとう。」

「じゃ、行きますね。」僕は上崎と戦った市場を後にした。

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