ゴクラク

 激しい衝撃に襲われた俺は、咄嗟に体を起き上がらせた。


 妙にボーとする頭をどうにか働かせ、辺りを見渡すとそこは、照り就く太陽の光とさざ波が立っている海面が広がっていた。


 "一体何が起こったのだろうか"


 俺は自らの頬をつねりながら、きらめく水面を静かに眺めていると、ふと何かのうごめく影が視界の端に映った。


 その方向に視線を向けると其処には、見た目麗しい18人の女性が微笑みなが佇んでいた。


 その姿は、いつの日にか見たプリマヴェーラの女神達のように美しく、神々しい雰囲気を醸し出している。


"君達はこんなところで何をしているのかな"


 俺は18人の女性に声を掛けるが、彼女たちは微笑むばかりで此方の問い掛けには反応を示さない。


"聞こえないのか? そこで何をしているんだ"


 俺が再度問い掛けるも、微笑むばかりで微動だにしない。痺れを切らした俺は、そんな彼女達へ近寄ることにした。そして一番手前に佇んでいる、幼い顔立ちの美女の手を少々強引に掴んだ。


 だが俺の急な行動にも一切動揺する事もなく、ただ微笑む幼顔の美女にもう一度質問をした。


"ここはどこなんだ"


「ここは、貴様あなたさまの為の獄落ゴクラクです」

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