絶世の花畑

“まるで雪が降り積もる銀世界だな。冬の季節だと言っていた理由もよくわかる“


 俺はその光景から、目を離すことができなくなっていた。純白の花々が冬晴れの太陽光を反射し、キラキラと輝いて見えるその景色はまさに雪ヶ原。


「今はこうして純白の花畑となっていますが、花畑に赤く色付き一本の道ができる時があります。それがなんとも言えぬ美しさを醸し出すのです“


 今目の前に広がるこの景色だけでも美しいのに、どうやらこの畑には別の顔があるらしい。きっとその景色も想像を絶する美しさがあるのだろう。そう思えるほどここは美しかった。


”この世界に来て色々見てきたが、ここが一番綺麗かもしれないな。ん? あの奥に見えるのは?“


 俺は花畑の奥に見える平野に指を差し、首を傾げながら二人に問いかける。俺の問いに二人は少し考え込んでいるかの様に黙り込むと、幼顔の女があの平野教えてくれる。


「あそこは季節のない別世界です。我々と住むべきところが違う隠世となっています」


 幼顔の女はそう説明するが、イマイチどう言う場所なのかピンとこない。まさかあそこに見える何もない平野が、罪人の落ちる地獄だとでも言うのだろうか?


 極楽の横に地獄とはなんとも物騒なことだと思うが、そもそもここは俺の予想を遥かに超える物ばかりだから、案外あり得なくもないことなのかもしれない。


 もしカンダタが落ちた地獄がここだったら、簡単に血の池から抜け出せたのかもしれないな。俺は昔読んだ有名書籍の内容に、思い出し笑いをする。


 そんな俺の姿を不思議そうに眺める二人。そして何を思ったのか豪華絢爛な女は俺の顔を覗き込むと、心配した様な面持ちで忠告を口にしてくる。


「嗚呼、貴様あなたさま。どうか彼方に渡ろうなどと、お考えにならないでください。あちらは貴様あなたさまが行く様な場所ではありません」


 豪華絢爛な女は俺の胸に抱きつき、涙を浮かべながら懇願こんがんしてきた。俺はそんな女の頭を優しく、ガラス細工を扱う様に丁寧に撫でると、女は幾分か落ち着きを見せ始めた。そして隣でその光景をただじっと見つめていた幼顔の女が、急に俺の腰あたりに手を回したかと思うと服をはだけ始めた。


 その顔はどこか不機嫌であり、その顔立ちから子供が親のスキンシップに嫉妬しているみたいだ。俺は幼顔の女の肩に手を置くと、二人を森の茂みへと連れ出した。


「嗚呼、貴様あなたさまもう辛抱たまりません。どうかここで私達を滅茶苦茶にしてください」


貴様あなたさま。以前の様に私達をいっぱい、いーっぱい愛してください」


 二人の女は俺を押し倒すと、物欲しそうな瞳で俺の服を脱がし始め、そして俺の胸板に舌をそわせた。


 こそばゆさと温かく柔らかい感覚が、俺のボッチをねぶる。俺はそんな快感をただ享受するだけでは、男としての矜持が傷つくと思い、未だ上目遣いで舌をそわせる女の股ぐらに手を伸ばした。


「あぁっ......ん」


「ッ......!!」


 俺が愛撫すると豪華絢爛な女は艶っぽい声を漏らし、幼顔の女は声を殺しながら俺の胸板に顔を押し当てた。


”ああ、なんてい反応なんだ。やはり生花はこうでなければ、造花ではこうはならなかっただろう!!”


 俺の中に燃える様な情熱が湧き上がるのを感じながら、すでに涙目となっていた女に荒々しい接吻をする。唇を奪われ舌を入れられた女はとろけた顔つきに変わってゆく。


“もう耐えきれん。脱がせ”


 こうして我慢の限界が来た俺は、魅惑的な女達を相手にまた肉欲の限りを尽くした。

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