第4話 子供が出来ただァ? 会わずに出来るわけないだろう、このビッチ!

 順調だと思っていた交際。

 あれからちゃんと病院にも行って性病を完治してくれた彼女に感謝しながら、出来るだけ連絡を取り合うように気をつけていた。


 だが、またしても彼女から「大事な話があるから」と暗い声で告げられてしまった。


 もしかしてまた浮気か?

 前と違ってマメに会うようにしたのに、またか?


 呆れながらも彼女の話に耳を傾けていると、何だか様子がおかしかった。


 まさか、泣いているのか?


『ぐす……っ、庵くん……ゴメンナサイ。やっぱり私、最低な女だよ』


 今度は何をしたんだ?

 嫌な予感がすると思いながら尋ねてみると、俺の予想を遥かに上回った返答がきた。


『私、妊娠しちゃった。お腹に赤ちゃんがいるの』


 あ、赤ちゃんだと⁉︎


 それは、え、え? えぇぇぇぇぇー?


「いつ分かったの? 嘘だろ、マジか」

『うん、今日病院に行ったら10週って言われた』


 そうか……マジかー……。


 それで、その子は



 そう、俺と寧々が最後に会ったのは3ヶ月前。その間に生理が来たことも聞いている。


 だから


『ごめんなさい、実は地元の人と浮気をしてて……おそらくその人の子供だと思う』


 ——そうなんだ。

 まだ不特定多数じゃなくて良かったのかもしれない。


 不思議と怒りは湧いてこなかった。

 もしかしたらいつか、こんな日が来るかもしれないと覚悟していたのかもしれない。


『私はいおりんに相応しくない女だよね。ごめんなさい、本当にごめんなさい……!』

「——うん、いいよ、もう。子供には罪はないし……その人と、幸せになってよ」


『——え?』



 すんなりと受け止められると思っていなかったのか、彼女は驚きの声を上げた。


 いや、だって子供には罪はないから……だろう?


「俺のことは気にしなくていいから、その子供をちゃんと幸せにしてくれ。子供ができたってことは、その男が寧々にとっての運命の男だったんだよ」

『え、待って……でも、私は』

「でもじゃないよ。お前は母親になったんだよ! しっかりと育てろ!」


 その後、泣きじゃくる彼女を慰めながら、俺はスッキリした気持ちで電話を切った。


 寧々のことは好きだったけど、子供が出来たんじゃ仕方ない。

 ちゃんと祝福してやらねば……。


「あぁー……最悪だ、俺って」


 飛んだピエロだ。踊らされるだけ踊らされて、何て惨めなのだろう。


 だがこれで諦めがついたのだ。

 俺は涙を拭って、無理に笑って誤魔化した。


———……★


「次だ……早く、新しい恋を……(ぐずっ)」

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