第二話 「君に会えてよかった」

「送っといたから、認証してね。」


「うん。わかったよ。」

アカネがフレンド申請を送ったので、僕は了承ボタンを押した。

「じゃあ、遺跡についての話をするね」


「うん」

話してかれこれ10分後


「よし、説明も設定も終わった事だし、、早速初任務だ!!」


「相変わらずすごい気合だね、、。」


「え〜だってアトラ君の初任務だよ?張り切っちゃうに決まってんじゃん!」


「えっ!ちょっっ!ア、アトラ君って、、なんかもうちょっと、、は、恥ずかしくないのを、、。」


「なーにこいつ照れてやーんの♫」


「て、、照れてなんか、、。」

でも耳を触ったら結構熱くなってた。、、、、ああ!僕のバカ!!


「うふふ。初対面なのに仲がいいですね。 じゃあ最初の依頼は、、薬草採集でも頼もうかしら!」


「へ?薬草?」

アカネはショックしたような、死んだ目になってアルナさんを見た。

僕のレベルじゃあ、、そんなの当然だと思うんだけど。


「なんでですか!なんかこうもっと、、遺跡とかに入って調査するとかは?あとは魔物の討伐とか、、!」


「なんでって言われても、、アトラさんのレベルじゃあまだGランクの依頼しか受けることができませんですし、、。


「え!っちょあんた今レベルは!!」


「えっと、、まだレベル1だけど、、」

突然アカネさんは絶望した顔をして


「レベル1って魔物討伐どころか遺跡にすら入れないじゃない!!あと30レベルも必要じゃん!!」


「あ、そうなの? でも僕まだ始めて30分もしてないからさすがにレb、、」

ガシッ!!

アカネはなぜか急に僕の襟を掴んで


「で、では私たちはこれから大事な用事がありますのでこれで失礼します〜」

と、ギルドを抜け出し、僕を連れて豪速球で飛んでいってしまった。


「あらあら、、行ってしまったわ。」


「ちょっ お、落ちる落ちる!」


「大丈夫!落ちることは、、アレ?いない、、。」

その時、俺はすでに落っこちていた。

ヤバい、、終わった。


「ああああああああああ!」

まじでどうしよう!!

飛行魔法はないし、、地形魔法もないし、、

あ、そうだ。

僕は即座に自分のコートを脱ぎ、

パラシュートのように持って、

「巨大化!!」とコートに魔法をかけた。するとコートは大きくなり、予想通りパラシュートになった。


「ごめん!!ほんとにごめん!!」


「あ、ははは、、人に失敗はあるさ。」

結局今日はここで野宿することになった。さいわいにも僕は運営からサバイバルセットをギフトでもらったので、今晩は不便なく過ごせそうだった。


「僕は調理の準備をしてるから、アカネは薪をお願いしてくれる?」


「うん、、わかったよ。」

さっきっからもそうだが、アカネの様子がおかしい。さっきはあんなにはしゃいでたのに。

きっと俺が空から落ちた件について落ち込んでるのではないのだろうか。

俺は野菜を一口サイズに切り、キャンプでも定番なカレーを作っていた。

煮込むには30分くらいかかるので、お茶でも飲んで、切り株の上に座って待っていた。


「、、、、ごめんね。」

隣に座っていたアカネは急に僕にそう言った。

やっぱりそれについておちこんでいた。


「いいよ。何も気にしてなし。」


「、、、。私、ゲームの中でも現実世界でも子供の頃からずっとドジな性格で、、言われたことをまともにやれない子だった。アシスタント、なのに、、足手まといなことばっかやっちゃって、、これじゃあアシスタントパートナー失格だよ、、ならいっそ、私じゃなくて他の人に頼んでもらった方が、、アトラ君にとっても、、、、」


「そんなことないよ!」

自分まで悲しくなった僕は、思わずアカネの手を握った。


「そんなことないよ、、だってアカネすごく物知りじゃん! 神殿の説明とか詳しい説明のおかげですごく理解できたし、、パートナーは強いとかどうとかが全てじゃないと思うんだよ。足引っ張っちゃうことしちゃってもアカネは僕のために頑張ってくれてるし、実際役立ってるよ!

だから、、さ。そんなに落ち込まないで。あっ父さんが言ってたんだけどさ、一人が笑ったってたら、みんなつられて笑うし、落ち込んでたらみんなお落ち込むから、いつまでも笑ってろよっていてたんだ。だから笑おうよ!!」


「アトラ君、、。」


「あ、ごめん、、」

僕はとっさに握っていた手をすぐ離した。

そしたらアカネは立ち上がって、また笑顔になって、


「そうだよね!私には私にできることがあるからね!これからもアトラ君のパートナーとして精一杯頑張るよ!

最初はどんな人かなってちょっと不安と緊張があったけど、アトラ君とならこれからもいけるよ!

本当に君に会えてよかった。これからもよろしくねアトラ君。」


その時アカネは僕に手を差し伸べてくれた。、、その時の彼女の瞳は、、、とても優しく、頼れそうな感じがする瞳があった。


「あぁ!よろしくな!」

差し伸べてくれた手を、僕は掴んだ。

何がともあれ、元に戻ってくれてよかった。


「あ、そろそろカレーができそうだな!たくさん食べてくれよな!」


「やったー!私、30杯は食べちゃお!」


「おいおい腹壊すぞ、、」


「あは、ハハハハハ!」

アカネの顔を見て、僕も思わずつられて笑った。

感情ってすごいんだな!

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アファルト・アトランティス〜アシスタントパートナーがドジな件〜 たか虎 @taka-tora

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