討伐した魔獣の活用法2

「分かんない。私は魔獣と戦った事がないもん。でもね、この骨もそうだけど、毛皮も魔力を通しやすい感じがする。もしかしたら魔獣は魔力を持っているのかも?」

「研究する事が増えたね」


ゼロさんと雑談をしている時、私は良いことを思いついてマートス長官にお願いをしてみた。


「マートス長官、この骨貰っていい?」

「骨を、ですか?」

「うん。今度お姉ちゃんの誕生日なの。この骨を削って何か小さなアクセサリーでも作ろうかなって思って!」

「でも、骨なんか貰って嬉しいかな? ローニャ様、それって趣味悪くない?」

「大丈夫! 絶対お姉ちゃんなら喜んでくれるもん!」

「ローニャが自分で作るんだろう? 良いじゃないか」


私がゼロさんに反論した時、ケイルート兄様が話に入ってきた。どうやら第三研究室に寄ってから第一研究室に戻ってきたようだ。


「兄様!」


私は立ち上がりケイルート兄様に抱っこを強請るが、兄様は苦笑しながらもう大人だからだめだと断られてしまった。


まだ身体が小さい頃の感覚が抜けないことで失敗してしまった。


「お姉ちゃんのためにこの骨をもらってもいい?」

「えぇ、もちろん構いませんよ」


再度お願いするとマートス長官は微笑みながら頷く。


「あ、そうだ! 骨に魔力が通る事を研究所以外に漏らさないで欲しいの」

「なんで?」

「だって、確実な話じゃないでしょう? まだ実験もしていないし、私達には指輪があるからあまり必要としていないんだし。全て結果が出るまで内緒にしておきたいの」

「? まぁ、いいよ? どうせ検証結果が出るまで何か月も掛かるかもしれないしね」


ゼロさんやケイルート兄様達は不思議そうにしていた。


あの馬鹿女がきっと近いうちに何かを仕掛けてくる予感がするの。


予感は当たらない方がいいけれど、もしもの事を考えて作っておくに越したことはない。


自室に戻ってから侍女のエリスにお願いしてヤスリと錐を用意してもらい、私は小さなわっかをなんとか削りだす事が出来た。


途中、心配して見に来たケイルート兄様に穴を開けてもらったのは内緒。もちろんお姉ちゃんの分も作った。


穴にリボンを通してチャームの出来上がり。尻尾にリボンを付けてばっちりなの! 周りからみたらリボンに装飾品が付いている程度で違和感がない。


我ながら上手に作れたと思う! ウシシシ!



『おねえちゃん、誕生日おめでとう』


誕生日にプレゼントが間に合って良かった!


とっても喜んでくれたわ。


ゼロさんはちーっとも女心を分かっていないわ! ふふっ、でも研究に命を掛けてる人だから仕方ないよね。


こうして上機嫌のままベッドに入ったローニャだった。

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