第2話 顔だけで性格は最悪?!

帰り道。冷たい風が吹き付ける。

「ねーね、璃紗。」

璃紗は、唯一私と気が合う親友だ。

「なにー?」

「今日の朝のテレビ見た?国宝級イケメンが出てたやつ!」

「あ、見た見た!ちょーイケメンじゃんね!美愛が好きな塩顔だったし。」

「そーなの!!!」

つい興奮してしまい、私はその場で立ち止まった。すると、後ろから来た男子とぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさい!」

急いで謝り、顔を上げた。だけどそこには、誰もいなかった。

「あれ...?」

「うちの学校にも、あんなイケメンいるといいのにねー。」

璃紗は気づいていないようだった。

「いるじゃん!」

私はそう言って、自転車小屋にいた男子を指さした。

「れおのこと?」

「そう!あんな人が彼氏だったら、幸せかも〜。」

「え、美愛本気?」

璃紗が、珍しく私に共感してくれなかった。

「ええなんで?」

「あいつ、顔だけって言われてんじゃん、知らない?」

「顔だけ...?」

私は、首を傾げた。

「美愛、知らないんだ。あいつ、性格クソって言われてんの。ちょー性格悪いらしいよー。」

そんなの、信じられなかった。

「璃紗、話したことあるの?」

「ないけど、みんな言ってるよ。」

璃紗が、眉間にしわを寄せて真剣な表情をした。

「でも、噂なんだよね?私、前からかっこいいなって...。」

「やめときなよ。今まで、あいつに一目惚れして近づいた女子は、みんなすぐに離れていったんだってー。うちは絶対関わりたくないねー。」

「そうなんだ...。」

実は、私は約1年前から、れおという学校一のイケメンのことを、見かけるたびにかっこいいと思っていた。自分がかっこいいと思っていた人を悪く言われて、いい気がしなかった。

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