第3章88話:鑑定結果

俺は眼前の球体きゅうたいオブジェクトに対して鑑定をおこなう。


すると、以下のようなメッセージが表示された。




◆◆◆

【ナユリスの転移球てんいきゅう

ナユリスのそのへと転移できる球状きゅうじょうオブジェ。


解除者かいじょしゃ:フロド


◆◆◆




……ふむ。


まず、この球体オブジェクトの正体は転移球てんいきゅう


つまり転移ができる装置だ。


魔力を送り込めば転移魔法てんいまほうが作動する装置。


ちなみに『解除者かいじょしゃ』というのは、封印を解いた者のことを示している。


封印魔法陣ふういんまほうじんを解いた者は『解除者』として登録されることがある。


一般的に、解除者に登録された者しか、封印魔法陣の先にある報酬を得ることはできない。


たとえば開かない宝箱があれば、開けられるのが解除者だけだったり……


伝説の剣が報酬ならば、それを使用できるのは解除者だけだったりする。


これは、他人が解いた封印の、報酬だけ横取よこどりするのを防ぐ処置とされている。


たとえば今回のケースの場合、転移球を使って転移できるのは俺だけ……


もしくは俺がパーティメンバーであると認識している者だけとなる。


(これが転移球なのはわかったが、ナユリスとはなんだ?)


と俺は疑問を持つ。


鑑定してみるか。


とりあえず『ナユリス』と『ナユリスの園』の二つに分けて鑑定をおこなうことにする。


だが……


表示された鑑定結果かんていけっかに、俺は驚愕きょうがくする。




◆◆◆

【ナユリスの園】

????????????


【ナユリス】

????????????


◆◆◆




おいおい、まじか。


はじめて見た結果だ。


これはつまり……


鑑定不能かんていふのう、ということか?


(鑑定スキルを使って、鑑定できないものはないはずだが……)


一般的に鑑定スキルは、あらゆるものを鑑定できるスキルだ。


なのに鑑定不能になってしまうということは……


(ゲームの頃には無かったもの、ってことか)


ゲームにはなく、異世界だけにあるものならば、鑑定スキルの範疇はんちゅうから外れてしまっていても不思議ではない。


つまり【ナユリスの園】とは、この異世界だけに存在する場所というわけだ。


「とんでもないものを発見してしまったな」


と俺は思わずつぶやいた。


高ランクの封印魔法陣ふういんまほうじんを解いた先にある転移球てんいきゅう


そこから行ける謎めいた転移先てんいさき――――【ナユリスの園】。


きっと通常の方法ではたどりつくことができない秘境だろう。


いったいどんな場所なのだろうか?

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