第3章87話:魔法陣の先

俺は魔法陣を解除しようと試みる。


この手の封印魔法陣ふういんまほうじんは、種類によって解除の方法が異なるからな。


魔法陣を分析するところから始めなければならないが……


(俺には鑑定スキルがあるからな……使ってみるか)


鑑定を使えば、種類の判別は一瞬で終わる。


俺は【鑑定】を使用した。


以下のようなメッセージが表示される。




◆◆◆

【アリメルダスの封印魔法陣ふういんまほうじん

封印に使われる魔法陣。

第6級の魔法陣。

通路を閉ざしている。


解除方法:アリメルダスの鍵


◆◆◆




「……まじか」


俺は驚きの声を漏らす。


一般に封印魔法陣は1~7級まで、ランクが存在し、数字が高いほど解除が難しいとされる。


アリメルダスの封印魔法陣は、第6級であり、極めて高ランクだ。


ちなみにアリメルダスとは、とある伝説的な魔術師の名前である。


(こんなところで第6級の隠し通路が見つかるとは……)


周囲の魔物の弱さを考えると、ここに第6級レベルの封印があるというのは、ちぐはぐさを感じる話だ。


しかしゲームには、序盤のステージに配置された高レベルダンジョンとかもあるし、この隠し通路も、その類かもしれない。


(アリメルダスの鍵か……1つ持ってるな)


と俺はアイテムボックスを眺めながら、確認した。


貴重な鍵だ。


何度も手に入るものではない。


だが、使う機会は多くないだろうし、ここで使ってしまっても後悔しないとは思う。


……使うか。


俺はアリメルダスの鍵を取り出した。


封印魔法陣へと鍵を突き刺す。


すると、鍵が壁の魔法陣へとめりこんでいく。


ある程度めりこんだところで、鍵を横に倒すと、カチリという、解錠かいじょうしたかのような音が鳴った。


直後、魔法陣がひかかがやいたかと思うと、砕けるようなエフェクトとともに、魔法陣が消失した。


同時に、使い終わったアリメルダスの鍵も消失する。


眼前の壁がスッと消えて、隠れていた通路が現れていた。


「よし……」


俺はさっそく、隠し通路へと足を踏み入れた。






しばらくは直線通路が続いていた。


しかし、やがて階段が現れる。


らせん状の階段である。


俺は、その階段を下りはじめた。


降りる。


降りる。


降りる。


かなり深い。


どこまでも無限に続いているのではないかと思うほどだ。


しかし、やがて終わりが訪れる。


「……今度は迷宮か?」


階段を下りた先は、直線通路である。


しかも洞窟ではなく、上下左右の壁は、迷宮などに見られるようなレンガ壁である。


ここはダンジョン……か?


いや、まだわからない。


とりあえず先へ進んでみよう。





ややあって、突き当たりに到達する。


縦5メートルぐらいある、大きな扉があった。


両手で押すと、簡単に開く。


扉の先にあったのは、縦20メートル・横20メートルぐらいの部屋。


高さは10メートルぐらい。


部屋の中央に祭壇がある。


祭壇の中心には、不思議な球体が浮かんでいた。


俺は球体に近づいてみる。


大きさは上下50センチぐらい。


青銅色をした球体であり、極めて細かい彫刻がほどこされている。


光のオーラが、まるで羽衣はごろものように球体の周囲にまとわりついていた。


「なんだこれは?」


俺は困惑する。


ゲームでも、こんなオブジェクトは見たことがない。


第6級の封印魔法陣を解除した先にある、謎のオブジェクト。


……鑑定してみるか。

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