第3章82話:魔族
クリスタベルも驚きの色を含みつつ告げた。
「確かにとんでもないことね。あなた……ほんとにただの錬金術師なの?」
「ああ。そうだが」
と俺は応じる。
クリスタベルも同調するように告げた。
「確かにとんでもないことね。でも、そんなスキルがあるなら、なんで最初から使わないのよ」
「……失念していただけだ」
というのは
探知スキルは、相手に探知されたことを見破られることもある。
いわば【
その能力を敵が持っていることを懸念して、探知するかどうか迷っていたのだった。
(まあ、結果的には探知して問題なかったようだがな)
探知したことは、どうやら相手に悟られていない。
ガンガン探知を使っていってもいいだろう。
さて、俺たちは通路を歩く。
やがて地下通路が終わり、洞窟の内部へと景色が変わった。
「ここが魔族の
と俺は告げる。
「ちなみに、この先には何体いるの?」
とクリスタベルが尋ねてきた。
俺は【探知】をふたたび使って、答える。
「3体だな。全てこの洞窟内部にいるようだ」
「そこまでわかるなんて、本当にすごい能力ですね」
とケイノンが賞賛してきた。
まあ、俺から見ても、探知スキルは便利だと思うからな。
クリスタベルがさらに尋ねてくる。
「その3体は1箇所に固まっている?」
「いいや」
と俺は否定した。
「全員、別々のところにいるようだ」
探知でわかったことを伝える。
クリスタベルは微笑んだ。
「なら、一人ずつ処理していきましょう」
各個撃破を提案するクリスタベル。
俺も同意した。
まずは一番近くにいる魔族の方角へと、足を向ける。
洞窟の中の通路を進んでいくと、すぐに見つかった。
こちらに背を向けて座り、酒を飲んでいるようだ。
『あたしがやるわ』
と目で合図をしたクリスタベル。
それからクリスタベルが、槍を短槍から、さらに短くして……
地を蹴った。
魔族の後ろから、うなじに槍を突き刺す。
「ぐぶっ!!?」
槍が魔族のうなじから喉を貫く。
見事なものだ。
ケイノンも俺も感嘆した。
すぐさまクリスタベルは、魔族の首を切断してトドメを刺す。
これで1体目は撃破だ。
さて、同様にもう1体の魔族も処理することにする。
そこそこ広い空間に、魔族が1
同様にクリスタベルが、素早く接近して、槍で魔族を突き殺した。
これで3匹中、2匹の魔族は討伐できた。
「残るは1匹だな」
と俺はつぶやいた。
ケイノンが言う。
「あとの1体はマルドルですね」
なるほど。
今まで倒した中にはマルドルはいなかったらしい。
「あと1体狩れば、とりあえずここに
とクリスタベルは微笑んだ。
「さっさと終わらせて帰りましょう」
しかし。
彼女がそう告げた、そのときだった。
壁からいきなり
「ッ!!」
俺は慌てて
しかしクリスタベルとケイノンが逃げ遅れて、突起に貫かれてしまう。
「かっ!?」
「あがっ!!?」
クリスタベルは
重傷である。
「俺の"城"に侵入者がいるとはなぁ……」
そう声がして。
闇色の渦の中から、一匹の魔族が現れた。
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