第3章59話:兵士たちと会話
怪我をしていた者は馬車の中で休ませる。
俺とメリーユさんは、兵士のみなさんと一緒に、馬車の周囲を囲むように歩いた。
兵士は、ヴェルニカを除いて、4人。
3人が男性で。
1人が女性だった。
ふむ。
一気に
青空と太陽の下、ゆっくりと歩いていく。
ヴェルニカが口を開いた。
「フロドは冒険者なのか?」
俺は首を横に振って答えた。
「いえ。ただの旅人です」
そのとき兵士の女性が声をかけてきた。
「あのあの! フロドさんって
「ん? ……銃のことか? まあ、アレは自作した飛び道具だな」
「自作の武器!! 詳しく知りたいです!! あたし、あんなすごい武器、見たことないですから!」
天然でコミュニケーション能力が高いタイプだと、直感的に思った。
俺が
「こら、ファリス。まずは自己紹介からだろう」
「あ……失礼しました!」
ファリスさんは頭をかきながら、仕切り直しとばかりに咳払いをした。
「あたしはファリス・ルーンです。21歳、エルフ。ヴェルニカ隊長のもとで二年ほど部下をやっています! ちなみにヒラの兵士です」
明るい調子でプロフィールを述べていく。
嫌味のない陽気さ。
ムードメーカーみたいな感じで、好かれるだろうな。
ファリスは言う。
「あたし、強くなるために兵士になりました。ですから、フロドさんの強さは本当に尊敬します! あんな武器を作れるなんて本当にすごいです!」
「あはは。ありがとよ」
自分の武器がほめられて悪い気はしない。
それは、俺の錬金術が賞賛されているのと同じだからだ。
「確かにフロドの武器は気になるな。自作したということは、お前は職人だったりするのか?」
とヴェルニカが聞いてくる。
「職人というか、錬金術師ですね」
と俺は答える。
「錬金術師か。私が知っている錬金術師でも、飛び道具といえば
「まさか。大した名前も持ってない、
もちろん前世の知識がある現在の状態で、錬金術の試験を受けたりすれば、世間的な評価はガラリと変わるかもしれないが。
現時点では、俺は無名の錬金術師である……ということにウソはない。
ヴェルニカは言った。
「そうなのか。もし、錬金術師として仕事やポストに
おお……
そんな申し出をされるとは思わなかったな。
だが。
「……ありがたい申し出ですが、いまはフリーで活動していたいと思っています。ですから推薦状については、遠慮しておきます」
と俺は告げた。
俺は、戦士ギルドでひどい目にあったことで、少しトラウマになっているからな。
しばらくは
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