第3章57話:殲滅

すぐに馬車を降りた。


「状況は?」


メリーユが尋ねると、ネリーが指差した。


そちらに視線を向けると、街道と森に挟まれた草原地帯そうげんちたい


そこに魔物と戦う兵士たちの姿があった。


……取り囲まれている?


騎士らしき女性を筆頭に、兵士たちが4名。


それを包囲するのが、15匹はいるだろう魔物。


あの魔物は……コボルトか?


二本足にほんあしで立った犬のような見た目をしている。


手には何も持っていないコボルトもいれば、武器を持っているヤツもいる。


(なかなかまずい状況のように見えるな)


コボルトはそこそこ強い魔物だ。


それでも騎士がいれば楽に勝てる相手だが、今回はコボルトの数が多すぎる。


15匹もの群れに囲まれているとなると、騎士がいても苦戦は必至だ。


しかも、15匹のうち1匹は、他のコボルトとはサイズが違う。


おそらくコボルトを束ねるリーダーしゅだな。


「援護してくる」


と俺はそう告げた。


メリーユがうなずいた。


「気をつけて!」


俺は馬車を離れて駆け出す。


近くの丘のうえにポジション取りをしてから、アイテムバッグからアサルトライフルを取り出した。


丘のうえに膝をつき、アサルトライフルを構える。


初撃しょげきで倒すべきはコボルトのリーダー種だ。


俺は狙いを定め……


発砲。


ズダ、ズダダダダッ!!


とアサルトライフルが火を噴いた。


コボルトのリーダーを銃撃でハチノスにする。


コボルトリーダーはいきなりの銃撃に対応できず、全弾命中ぜんだんめいちゅうし、その場に倒れた。


そして他のコボルトや、兵士たちは、いきなりの銃声に動きを止める。


「……」


俺は静かに、次の標的へと標準を定めた。


【命中補正】があるとはいえ、手元が狂ったら兵士たちに当たってしまう。


気をつけながら、次の発砲をおこなう。


ズダダダダダダッ!!


掃射そうしゃがコボルトたちをなぎはらう。


8匹ものコボルトを瞬時に撃滅げきめつした。


「クゴォッ!!」


「クゴ、クゴォッ!!」


と生き残ったコボルトたちがこちらを向き、怒りに叫ぶ。


兵士を襲うのをやめたコボルトたちが、一斉に、俺に向かって疾走してくる。


だが。


俺は正確に銃口を調整しつつ、照準を定める。


発砲。


「クゴァッ!!?」


発砲。


発砲。


発砲。


一発、一発、小刻みに銃弾を撃ちながら、確実にコボルトを殺していく。


そして。


最後の一匹だけとなる。


その一匹だけは、俺のもとへと辿り着いた。


こんぼうを持っているコボルト。


そのこんぼうを俺に向けてフルスイングしてくる。


(甘い!)


俺はサッとバックステップで距離を取った。


コボルトのこんぼうが空振からぶりする。


ゼルリウスやランドウルフマザーを倒し、レベルが上がった俺ならば、たかがコボルトごときの攻撃などラクにかわせる。


回避に成功した俺は、アサルトライフルの銃口を、コボルトに向けて発砲した。


「クギャッ!?」


コボルトに命中し、倒れる。


これで殲滅は完了だ。




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