第2章55話:次なる目的地へ

朝食の後。


村人むらびとうたげ片付かたづけを始めたので、手伝うことにした。


それが終わると、俺は村の店で買い物をする。


植物酒を5本ずつ購入しておいた。


これでいつでも飲める。


ついでに別の店で、牛乳が売っていたので、これも購入。


牛乳があれば料理のレパートリーが格段に増えるだろう。


さて、欲しいものも買えたことだし、俺はいよいよ村を発つことにした。


メリーユに、出発する旨を伝える。


すると。


メリーユが言ってくる。


「ねえ、フロドさん」


「なんだ?」


「私がリズベック子爵に報告にいくことは話したわよね?」


「ああ」


「実はネリーも同行することになったの」


「そうか」


「そこでだけど、フロドさんに、私とネリーの護衛を依頼してもいいかしら?」


「……何?」


首をかしげる俺。


「俺に護衛の依頼か」


「ええ。だってフロドさんほど心強い護衛はいないでしょ? ああ、もちろん護衛料ごえいりょうは支払うわよ」


とメリーユは説明する。


うーん。


まあ、この周辺の魔物ぐらいなら、蹴散らせるのは事実だが……。


「引き受けてもらえないかしら?」


「そうだな……」


護衛の経験なんて俺にはない。


ただ、どうせ俺もエルクスにいくつもりだったからな。


雑魚モンスターを蹴散らすぐらいの仕事なら、断る道理はないか。


よし。


「わかった。護衛を引き受けよう」


「ありがとう。ネリーにも知らせてくるわね」


メリーユは去っていく。




2時間後。


出発の準備を整え……


俺とメリーユ、それからネリーは、村の入り口に立っていた。


多くの村人が見送りに来てくれる。


「また来なさいよ」


「今度来たときはうちの店のメシを食べにきてくれ!」


「本当にお世話になったわ。達者でね」


村人たちが、別れの言葉をたくさんかけてくれる。


餞別せんべつの贈り物を包んでくれる人もいた。


「メリーユとネリーも気をつけてな」


ガンドが二人と挨拶をしていた。


そして、それが終わると、俺とメリーユが幌馬車ほろばしゃに乗る。


御者ぎょしゃはネリーだ。


出発。


カタコトと馬車が動き出す。


ほろうしろを開けると、手を振ってくれる村人たちの姿が見えた。


俺は、馬車の中から手を振り返す。


やがてユレット村が遠ざかり、俺はほろを閉じて、馬車の中に戻った。


こうして。


俺はユレット村での滞在を終えて、エルクスの街へと向かうのだった。





第二章 完



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