第2章54話:翌朝

翌日。


ベッドから起き上がる俺。


村長宅の部屋。


まだ早朝なのか、薄明はくめいが立ち込めている。


「う……」


起き上がってすぐにぐらりとした。


身体がだるい。


あー。


これ、寝不足ねぶそくだ。


昨日、結構けっこうおそくまで起きていたからなぁ。


宴がなんだかんだ楽しくて、つい夜更かししてしまった。


(な、なんか良い薬はないかな……)


俺は【素材参照】スキルを使って、眠気覚ねむけざましの薬を調べてみた。


おお、作れる作れる。


よし、さっそく製作してしまおう。


錬成!


眠気覚ましの薬ができあがる。


水と一緒に摂取した。


「……!!?」


飲んだ瞬間、眠気が吹き飛んだ。


気だるさも、嘘のように消えている。


寝不足からあっという間に全快ぜんかいしてしまった。


なんという薬だ。


(異世界の薬って、ナチュラルにチートだよな……)


たとえばポーションも、またたく間に傷をいやしてしまう。


異世界ならではのチート現象である。


「さて……起きよう」


すりつぶした果物を食べて、お腹に少し入れてから、外に出る。


宴のために出した野外やがいテーブルはそのままになっている。


テーブルには酒をかした村人むらびとたち。


椅子にして寝ていたり、地面に寝転んでいたりする。


俺はそれを横目よこめに、村長宅そんちょうたくの裏へ行った。


軽くストレッチ。


体操。


それから簡単な木剣の素振すぶりをする。


俺は錬金術師なので、剣術は本業ではない。


しかし、底辺錬金術師だったころに、剣の練習も多少なりともしていた。


錬金術師だろうとなんだろうと、ある程度の護身術ごしんじゅつはあったほうがいいからな。


だから木剣を振り、覚えてきた型を確認する。


終わったら、魔法も確認する。


最後にステータスを眺めた。


(もっとレベルを上げたいところだな)


錬金術師は魔力と速度以外のステータスが弱い。


特にHPと防御力が低くて、たれよわいのは難点だ。


強打きょうだを食らったら即死もありえる。


ゲームなら死んでもやり直せばいいだけだが、異世界にロードもコンティニューもないだろう。


(まあ、錬金術師はレベルが上がってもHPや防御力は伸びにくいが……)


それでも低レベルでいるよりは、はるかにマシにはなる。


だから今後の課題としては、レベリングのための経験値稼けいけんちかせぎだな。


そこまで考えたところで、ステータスを閉じる。


いったん村長宅へと戻ることにした。




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