第2章49話:報告

俺はうなずきながら、説明する。


「ああ。まずランドウルフが大量発生たいりょうはっせいしていた理由は、ランドウルフ・マザーの存在だ」


「ランドウルフ・マザー……」


「マザーと名のつく魔物を【マザーしゅ】という。簡単にいえば繁殖をつかさどる個体だ。そしてランドウルフ・マザーは、一匹いれば数千頭すうせんとうのランドウルフを産み落とす。それが森の中に発生していたんだ」


「なるほど……それが大量発生の元凶ってわけね」


「ああ。だがランドウルフ・マザーは、俺が全て駆除した」


「ほんと!?」


「あとで証拠を見せてやろう」


是非ぜひ確認したいわ!!」


メリーユがテーブルを立ち上がった。


俺は手でせいした。


「いや……あとでな。まだ報告には続きがあるんだ」


「あら、そうなの」


とメリーユが座りなおした。


俺は咳払せきばらいを一つしてから、告げた。


「実はな―――――」


そうして、俺は、ジェーンとゼルリウスの件について報告した。


ジェーンがランドウルフ・マザーを召喚していたこと。


そのバックにはゼルリウスがいたこと。


さらにゼルリウスの裏には、もっと大きな魔族の思惑おもわくが、うごめいていること。


……以上のことを、メリーユに伝える。


メリーユは唖然あぜんとしていた。


「まさか……ジェーンさんが、魔族とつながっていたなんて」


身近みぢかにいた人間が、とんでもない悪党の仲間だったと知り、メリーユは衝撃を受けている。


俺は告げた。


「……まあ、魔族も全てが悪党というわけじゃないが、ゼルリウスは間違いなく悪だった。ジェーンもな」


「……」


「ジェーンも、ゼルリウスも、ランドウルフ・マザーも死んだが、まだ全てが終わったわけじゃない。そのことは、伝えておいたほうがいいと思ってな」


「……ええ、教えてくれてありがとう」


一拍いっぱくいてから、メリーユが告げた。


「魔族の件については、領主さまに相談してみようと思うわ」


「領主さまというと、リズベックりょうの?」


「そうよ。リズベック子爵ししゃくさま。私もこの村の村長として、何度か領主さまとお話をする機会があったんだけれど……とても良識りょうしきあるお方だから、助けを求めれば、何らかの対処をしてくれると思うわ」


……そうか。


領主の力を借りられるならば、この村も安全だろう。


俺は言った。


「報告は以上だ。……それじゃあ、ランドウルフ・マザーを見せよう」


「ええ。ぜひ見たいわ!」


「サイズがデカイから、外で出そうと思う」


「じゃあ裏庭うらにわに移動しましょう」


とメリーユが言った。


俺とメリーユは、玄関を出てから、村長宅そんちょうたくの裏庭へと回る。






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