第2章48話:帰還

<フロド視点>


翌朝。


俺はテントを片付けて、出発した。


マザーは倒した。


これでランドウルフが増えることはなくなるだろう。


しかし既に産まれたランドウルフは残存している。


俺はユレット村へ進みながら、残ったランドウルフを狩っていくことにした。


そして。


森をかきわけ、


茂みを蹴散らし、


魔物を倒しながら……


やがて、俺は、ユレット村へと帰還した。






3日ぶりの帰還である。


ユレット村の入り口から、村内そんないへと入ろうとしたが。


入り口のすぐ近くに、メリーユが立っていた。


「あ……!」


とメリーユが俺に気づく。


すぐさま俺のもとへ駆け寄ってきた。


「フロドさん! 無事だったのね!!?」


とメリーユが大声おおごえで尋ねてくる。


「お、おう……」


と俺は少したじろぎながら、答える。


俺は尋ねた。


えら大声おおごえ出して……ずいぶんあわただしいな。何かあったのか?」


「何かあったのか、じゃないわよ!! あなたのことを心配していたのよ!」


「心配」


「そうよ! だって3日も帰ってこないんだもの! 魔物に殺られて死んだのかと思ったわ!」


……そうか。


まあ、3日も戻らなかったら心配にもなるか。


俺は謝った。


「悪いな。心配をかけて……だがこの通り、無事だ」


メリーユは俺の言葉に、ホッと安堵あんどしたように息をつく。


そのとき。


「おお! フロドさん! 戻ったのか!」


と声をかけてきたのはガンドである。


どうやら労働の最中に通りかかったらしく、大量のまきを腕に抱えている。


「全然帰ってこないから、心配したんだぜ? 捜索隊そうさくたいを出したほうがいいんじゃないかって話も出たぐらいだ」


「ずいぶん心配かけたみたいで、悪かった。……ところであんた、もう仕事してるのか。身体は大丈夫なのか?」


つい数日前まで大怪我おおけがを負っていたガンド。


上級ポーションで治したとはいえ、少し心配になった。


しかしガンドは笑う。


「ああ、おかげさまでな! この通りピンピンしてるぜ! あんま休んでると身体がなまっちまうから、働くことにしたんだ」


「……そうか」


俺は微笑んだ。


それからメリーユに言った。


「そういえば、いろいろ報告したいことがあるんだ。いま、時間はいいか?」


「ええ。もちろん」


とメリーユが答える。


かくして村長宅へと向かった。






村長宅そんちょうたくの中へ入る。


リビングのテーブルに俺は座る。


テーブルの向かいにメリーユが座った。


「それじゃ、報告をはじめるが」


と俺は前置きしてから、告げた。


「まずランドウルフの問題については、おおむね解決できたと言っていい」


「本当?」


とメリーユが歓喜の目を浮かべた。



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