第2章47話:魔族領2

<魔族視点・続き>


魔族領まぞくりょうおんな領主りょうしゅ・ダフローネ。


2メートルの長身ちょうしん


ボリュームのある銀色のロングヘアで、黒いツノが生えている。


目は、白目の部分が黒色で、その真ん中に赤い瞳が宿っている。


大胆な黒いドレスに、鎧を身につけた装備。


濃厚な魔力を宿したような、紫色の体表。


ダフローネは魔族コウモリに尋ねた。


「どうした、騒々しい?」


魔族コウモリは空中に滞空たいくうしながら答えた。


「それが大変なんですー! ゼルリウス様が! ゼルリウス様が死にました!」


「……なに?」


ダフローネが眉をひそめた。


尋ねる。


「死んだ、とはどういうことだ?」


「殺されたんですー!」


「誰に?」


「人間にですー!」


と魔族コウモリが答える。


「ゼルリウスは赤魔族だが……人間が、赤魔族を打ち破ったというのか?」


「そのようですー!」


と魔族コウモリが答える。


ダフローネは考える。


(まあ、最近は赤魔族の弱点も知られてきたからな。そういうこともあるか)


これまで赤魔族は、人類にとって最強の魔族の一種だった。


なぜなら【全属性耐性ぜんぞくせいたいせい】を持ち、簡単に殺せないからだ。


しかし減魔系げんまけいのスキルやアイテムを食らわせると、全属性耐性は消えうせる。


そうすれば赤魔族は、Cランクほどの冒険者でも狩れる程度に成り下がる。


人類にとって大きな脅威とまではならないのだ。


「誰がゼルリウスを殺したか、わかっているのか?」


とダフローネは尋ねた。


魔族コウモリは答える。


「姿は見ました! 錬金術師のローブを羽織はおっていました」


「錬金術師……名前は?」


「わかりませんー!」


馬鹿者ばかものが! 名前がわからなければ、意味がないだろう!」


「ひぃっ! すすすみませんー!」


魔族コウモリがおびえて謝罪した。


ダフローネは怒りを静めつつ、尋ねた。


「顔はわかるか?」


「は、はい……顔なら、見ました」


「よし」


ダフローネは微笑みながら、命ずる。


「なら、まずはその錬金術師の素性を調べろ」


「殺すのですかー?」


「当然だ」


とダフローネは即答しつつ、続ける。


「ゼルリウスは我々の仲間だ。仲間を殺した不埒者ふらちものには、相応の報復をせねばならん。その錬金術師は、見つけ出して、八つ裂きにしてくれよう」


悪意的あくいてきで、不敵な笑みを浮かべるダフローネ。


「わかりましたー! では、あの錬金術師の素性を調査してきますー!」


「任せたぞ。必要ならば、調査のために人員を使っても構わん」


「はいですー!」


と魔族コウモリは答えた。


こうして魔族たちは、フロドの素性すじょうを調査し始めるのだった。

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