第2章29話:会話

ゼルリウスは俺に尋ねてくる。


「見たことがない武器だが……すさまじい速度の遠距離攻撃えんきょりこうげきだ。その武器は、お前が作ったのか?」


「……ああ」


「お前の錬金術で?」


「……そうだ」


肯定しつつ、俺は目を細める。


この魔族は、俺が錬金術師であることを知っている。


……ジェーンから聞いたのだろう。


さきほどのやり取りから、この魔族は、ジェーンとつながっているような口振くちぶりだった。


二人は、仲間なのか……?


そんな俺の心のうちを読んだように、魔族は言った。


「お前の想像通りだ」


魔族は告げる。


「俺は、ジェーンとつながっている。ジェーンは俺の眷属けんぞくだ」


「……眷属」


つまりジェーンは、この魔族の部下ってことだ。


魔族も全てが悪人というわけではないが……


おそらくゼルリウスはあく


そして、その傘下さんかにいるジェーンも、あく一味いちみだろう。


「自己紹介をしておこうか。俺は、ゼルリウス。見ての通り赤魔族あかまぞくだ」


赤い体表を持つ魔族―――赤魔族。


通常の魔族よりも上位の魔族だったはずだ。


戦闘能力が高い。


あと……特殊な能力を持っていたはずだが。


果たしてソレがなんだったのか、思い出せない。


まあいい。


赤魔族の能力については置いておいて、俺は尋ねる。


「……ジェーンがお前の部下ということは、ランドウルフ・マザーを召喚させたのは、お前の指示か?」


「ああ。その通りだ」


「何故そんなことをしている?」


「答えられないな。知りたいなら――――俺の【仲間】になれ」


「仲間?」


「そう、仲間だ」


ゼルリウスは笑いながら、言った。


「ジェーンから聞く限り、お前の錬金術は、相当使えるようだ。その武器を自作したというのも興味深い」


「……」


「だからその能力を、今後は俺のためにふるえ。もし俺の【仲間】になるというなら、相応の待遇と、ランドウルフ・マザーを召喚する計画に関わらせてやる」


……仲間。


魔族の仲間か。


俺は答えた。


「断る」


はっきりと告げる。


「悪党の仲間入なかまいりをするつもりはない」


「……そうかよ」


ゼルリウスは静かに笑った。


そしてジェーンへ告げる。


「捕らえろ」


「……!」


ジェーンが戦闘態勢をとる。


俺はジェーンに拳銃を向ける。


ジェーンへ向けて発砲する――――と見せかけて。


もう一つの拳銃を、アイテムボックスから取り出した。


その二丁目の拳銃で、ゼルリウスを発砲した。


ズバァンッ!!


俺が放った弾丸は、ゼルリウスのひたいめがけて飛来していく。


「ゼルリウス!?」


ジェーンが目を見開いて叫ぶ。


弾丸は、ゼルリウスに命中し―――――






――――――――――――――――――

おしらせ:

作者は、本作以外にもいろいろな小説を執筆しております!

以下は、異世界ファンタジーの作品です。よろしければこちらもお読みください!

 ↓

【女主人公ですが、恋愛しません】チョコレート・ガール

https://kakuyomu.jp/works/16818023212608563260





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る