第2章25話:森へ

「ランドウルフをなんとかしてくれるのか」


とガンドが驚きの目で俺を見つめた。


俺は答える。


「まあ全滅は難しいだろうが……俺にできる範囲でな」


「それでも助かる。……残念ながらオレは、ランドウルフを相手には戦力になれない。実際、重傷を負わされたぐらいだからな。が、オレにできることがあれば、なんでも言ってくれ。できる限り協力させてもらいたい」


「ああ。わかった」


と俺は応じた。


かくして、俺はランドウルフ討伐の依頼を引き受けることになった。







その日は村長宅そんちょうたくに宿泊する。


翌朝よくあさ


くもぞら


俺はさっそく、ランドウルフの討伐に出ることにした。


特に重点的じゅうてんてきに倒してほしいと依頼されたのは、街道付近かいどうふきんのランドウルフ。


しかし、俺は街道には向かわず、森に入った。


なぜなら。


(ランドウルフが大量発生たいりょうはっせいしたのは、おそらくマザーが原因だ。マザーを殺さなければ、意味がない)


繁殖はんしょくに特化したモンスターである【マザーしゅ】。


マザー種が出現すると、モンスターが爆発的に増加する。


おそらく今回のランドウルフ大量発生の裏には、ランドウルフ・マザーの存在があると、俺は推測していた。


何らかの原因でランドウルフ・マザーが出現し……


そのせいでランドウルフが大量発生したのだろう。


だとすればランドウルフを狩りまくっても意味がない。


ランドウルフ・マザーは多産たさんであり、放置しておけばランドウルフを産み続けるからだ。


(たしかマザー種は、フィールドやダンジョンの奥深おくふかくに生息することが多いんだったか)


ゲーム知識を思い出す。


ゆえに俺は、森の奥地おくちを目指して、行動することにした。






森を進む。


鬱蒼うっそうとした森だ。


人の手入ていれがなされておらず、草木くさき放題ほうだいしげっている。


加えて、空はくもり。


雨の気配こそはないが、雲が空をおおっているため、森はくらがりに沈んでいる。


湿しめった匂いと空気。


足元の地面もひんやりしている。


「……」


俺は草木をかきわけながら、森を進んでいく。


途中、現れる魔物たち。


ホーンラビット。


ルグイノシシ。


ランドウルフ。


などなどが中心である。


これらの敵に対して、俺が使う武器は拳銃だけだ。


錬金術によって魔石ませき融合ゆうごうし、威力を高めた【魔法拳銃まほうけんじゅう】。


攻撃力が高いので、ほとんどの敵を一撃で蹴散けちらすことができる。


倒した魔物は、肉になるので確保していく。

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