第2章23話:お礼

<フロド視点>


夕方ごろ。


今日もメリーユの家でお世話になることになる。


リビングにいると、来客があった。


ガンドたちである。


リビングにあがってきたのはガンドとネリー、それから村人の男性があと1名。


で、メリーユだ。


ガンドがリビングの椅子に座り、開口一番かいこういちばんに言った。


「傷が完治かんちしていたことが確認できたから、御礼おれいを言いに来たんだ。助けてくれて本当にありがとう」


そしたらネリーも告げる。


「今日は安静にしておきなさい、って言ったんだけどね。ガンドがお礼を言いに行くって聞かなくて」


全快ぜんかいしてるんだから問題ないだろ」


と、ガンドが言う。


そこで、残り1名の男性が自己紹介をしてきた。


「はじめまして、自分はリュクスンと言います。この二人とは親友でして……」


リュクスンはガンドとネリーに目を向ける。


それから再度、こちらに視線を戻した。


「ガンドを助けてもらったことについて、どうしてもお礼が言いたくて。……このたびは本当にありがとうございました」


理知的りちてきな雰囲気を感じる男性である。


悪い人ではなさそうだ。


「いや、たまたま助けられる方法があっただけだからな」


と、俺は答える。


ネリーが言う。


「あの錬成のことよね? 本当にすごいよね。一瞬でポーションを作り上げちゃうんだもの」


「オレも今回ばかりは死んだと思った。よく助かったものだと自分でも思う。いったいどんなポーションを使ったんだ」


「あれは……上級ポーションだな」


と俺は答える。


「上級ポーション……そんなすごいものを俺のために使ってくれたのか」


とガンドが驚愕する。


彼は椅子から立ち上がり、頭を下げてくる。


「本当にありがとう。あんたはオレの恩人だ。この恩は、一生忘れない」


「……ああ」


と、俺はあいづちを打った。


メリーユが言った。


「それで、ガンド。お礼の件だけど」


「そうだったな。フロドさんは確か、この周辺の情報を求めているんだっけか……?」


「ああ。お礼はその情報をいただく、ということでお願いしたい」


と俺は答えた。


ガンドは聞いてくる。


「ほんとにそれでいいのか? 命を救ってもらった対価としては安すぎると感じているが」


「いや、情報は何より重要だからな」


前世とは違い、異世界にはネットなどもないため、情報が手に入りにくい。


だからこそ、異世界では情報を制した者が、あらゆる面で有利になれるのだ。


ガンドが言った。


「なら、オレが知っていることならなんでも話してやる。あと、これは地図と資料だ。忘れないうちに渡しておこう」


ガンドが地図と、街や国に関する資料を提供してくれた。

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