第2章21話:ジェーン視点2

<ジェーン視点・続き>


「どうする? フロドをここに連れてくる?」


とジェーンが尋ねる。


ゼルリウスは答えた。


「そうだな。連れてきて、俺の仲間になるか、家畜になるかを選ばせることにしよう」


「【仲間】になる場合は、アイテムを没収したうえで、服従を誓わせる……だっけ?」


「そうだ。そして【家畜】の場合は、アイテムも何もかも根こそぎ奪ったうえで、絶対逃げられない場所に監禁し、一生、俺の道具として使い潰す」


仲間になるか、家畜になるか。


どちらにせよ、ロクなことにならない二択にたくだ。


しかしゼルリウスは魔族であり、基本的に人間に対して温情おんじょうは持たない。


「よほど使えるならば、ジェーン……お前のように【眷属けんぞく】にしてもいいがな」


「……眷属、ね。まあ、フロドは魔物を戦闘力せんとうりょくはあるみたいだけど」


大量の魔物肉まものにくを、村に寄付きふしたぐらいだから、魔物と戦う能力はそれなりにあるのだと推察する。


しかしゼルリウスの眷属としてふさわしいほどかというと、疑問だとジェーンは思った。


ジェーンからすると、フロドは高い戦闘力を持っているようには見えなかったからだ。


雑魚狩ざこがりが上手いだけで、大した強さはないと思うわよ」


とジェーンは補足した。


ゼルリウスは言う。


「それを含めて、俺が審査する」


「そう。わかった。じゃあ、後日、連れてくるわね」


とジェーンは答えるのだった。


そこでゼルリウスは、話題を変える。


「ところで、ランドウルフの件だが、」


と前置きしてからゼルリウスは言った。


「もっとランドウルフの数を増やしたい。そこで、追加でランドウルフ・マザーをばらまくことにした」


「ランドウルフ・マザーって、ランドウルフを生んでいるマザーしゅのことよね?」


「そうだ」


マザー種というのは、魔物を産み、やすことをつかさどるモンスターのことだ。


ランドウルフ・マザーの場合は、たった1頭だけで、2000匹のランドウルフを産むことができるほど、多産たさんである。


「ここ最近、ランドウルフが大量発生たいりょうはっせいした原因が、まさかあなたのような魔族にあるとは誰も思わないでしょうね」


とジェーンは肩をすくめながら言った。


そう。


ユレット村の周辺にランドウルフが大量発生したこと―――――


それは、ゼルリウスがランドウルフ・マザーをこの地に連れてきて、繁殖させたからだ。


つまり村が食糧難しょくりょうなんになったことも、ガンドがひどい怪我を負ったことも、全てはゼルリウスが元凶げんきょうなのである。

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