第2章16話:村の案内
人だかりから解放されたあと。
俺はメリーユさんに村の案内をされていた。
「ユレット村は、近くの村と
メリーユさんが歩きながら説明してくれる。
「たまに街にいって
人口150人ぐらいの小規模な村。
それがユレット村だ。
村長はメリーユさんだが、彼女は、よそから移住してきたエルフの一族だという。
エルフの
「この村の
「ああ、もしや昨日の夕食で出た野菜スープがそれか?」
「いいえ。あれは作物を使ったスープね。ユレット草は、ここ最近ほとんど
そこまで言われて、俺はその理由を察した。
「もしかしてランドウルフか?」
「……そうよ。ランドウルフの群れが出たせいで、森の恵みがほとんど得られなくなったわ」
メリーユさんが
と、そのとき。
「あら」
横から声をかけてくる者がいた。
「あなた、まだいたの?」
「あんたは……」
話しかけてきたのは、衛兵の女性だった。
相変わらず、俺に冷たい目を向けてくる。
メリーユさんが告げる。
「ジェーンさん。お
「ふン」
と衛兵の女性は鼻を鳴らす。
どうやら彼女はジェーンという名前らしい。
ジェーンは言った。
「旅人のおじさん、さっさと帰れって昨日言ったわよね?」
「……ああ、言われたが」
「なんでまだいるの? はっきり言って迷惑よ」
もはや敵意ともいうべき視線を向けてくる。
メリーユさんが口を挟む。
「ちょ、ちょっとジェーンさん。フロドさんは、村に食料提供してくれた恩人なんですよ」
「ふン。だからどうしたのよ?」
とジェーンは
さらにジェーンは
「それにフロドって、ふふっ。
「……」
俺は顔をしかめる。
なんでこんな態度をとられなければならないんだ?
失礼にも程がある。
俺は一言、言い返そうとしたが。
そのとき。
「大変だ! メリーユ!」
村人の男性が慌ただしく駆けてきた。
ただならぬ様子である。
メリーユさんは答える。
「どうしたの?」
「ネリーたちが帰ってきたんだ。だけどガンドが重傷を負って……!」
どうやら重傷の
メリーユさんが弾かれたような顔をした。
「案内しなさい!」
「ああ、こっちだ!」
男の案内で俺たちは、怪我人のもとへ向かった。
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