第2章13話:食料提供

女村長は聞いてくる。


「ちなみに、解体作業はまだ済んでないのよね?」


「済んでないな。全部こんな感じだ」


俺は20匹のルグイノシシを指差ゆびさした。


狩ったはしから解体なんて、やってられないぐらい数が多いからだ。


女村長は言った。


「解体ができる者を呼んでくるわね。ちなみに、いくらで譲ってもらえるの?」


「ん……タダで渡すつもりだったが」


「タダって……それはさすがに申し訳ないわ」


んー……まあ、せっかく200匹も渡すのだから、対価をもらってもいいか。


「じゃあ、ルグイノシシとアマイドリの相場の3割で売るよ。それでどうだ?」


「3割……そんなにまけてもらえるのね」


「まあ、元々タダで譲るつもりだったしな」


「とてもありがたいわ。代金もすぐに用意する。ああ、それと」


「ん?」


「あなたの名前を教えてもらえる? 恩人の名前だもの、聞いておかなくちゃね」


「フロドだ。恩人というほどではないさ」


「フロド、ね。私はメリーユよ。よろしくね」


「ああ。よろしくな」


「じゃあ、ちょっと村のみんなに呼びかけてくるから。待っててちょうだい」


女村長は近くの村人に声をかけて、テキパキと指示を出し始めた。


そして、俺は200匹の魔物を譲渡することになった。


魔物は腐らないよう【防腐魔法ぼうふまほう】をかけたあと、村の食糧倉庫しょくりょうそうこに保管されるそうだ。







結局、食糧となる魔物の死体は30万ディリンで買い取ってもらった。


1ディリン=1円の価値。


ゆえに今回は30万円を手にしたというわけだ。


これは美味しい。


ちなみに食糧提供の代金として貰ったのはディリン金貨30枚。


金貨1枚=10000ディリンという価値である。







さて。


取引とりひき証明書しょうめいしょを受け取りに女村長おんなそんちょう宅を訪れる。


その際、メリーユが、ぜひ今夜は家に泊まっていってほしいと告げてきた。


断ろうとしたが、おもてなしをしたいと強く迫られ……根負こんまけ。


結局、彼女の家でごちそうになることになった。


「今回は本当に助かったわ。改めて御礼おれいを言わせてちょうだい」


村長宅そんちょうたくのリビング。


食卓しょくたくには、すでに料理が並べられている。


「30万ぽっちであれだけの肉を売ってもらえたのは、大助おおだすかりよ」


メリーユいわく、もともとユレット村は物々交換ぶつぶつこうかんが基本の村。


なかなか大金を用意することができないのだという。


だから格安で肉が手に入ったことは、本当に助かったんだとか。







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