第1章3話:追っ手

国境にたどりつく。


関所を抜けて【ラティナ王国】へと入国にゅうこくした。


ラティナ王国は人口500万人ぐらいの中堅国家ちゅうけんこっかである。


街道を歩く。


夕方になった。


(今日の旅はここまでだな)


と思い、俺は街道から離れ、草原のうえを歩く。


草原の近くに森林が広がっていた。


その森林の前に俺は立つ。


(ここで野宿をするか)


とりあえず夕飯にしよう。


そう思って準備を開始しようとした……そのとき。


足音がした。


振り返る。


そこに6人の男女がいた。


3人が男性。


3人が女性。


そのうち、先頭に立つ1人は、見覚えがあった。


「ギース……」


ギース。


俺を【戦士ギルド】に誘った男。


そして俺をめて、ギルドの罪をなすりつけた一人だ。


「よう、久しぶりだな。フロド」


ギースが言ってきた。


俺は警戒心を強めながら尋ねる。


「……どうしてここに?」


ギースは答えた。


「もちろん、お前を追いかけてきたんだよ」


「……!」


ギースはヘラヘラと笑いながら、続けた。


「お前を殺すためにな」


「……なぜ? お前たちは俺に罪をなすりつけて、国外追放に追い込んだ。もう満足しただろう?」


「そうだな。満足はしたぜ? 傑作けっさくだったよ、お前がまんまと策にはまってくれたんだからな? おかげで俺たちは無罪放免むざいほうめんだ」


俺はギースをにらんだ。


憎しみの感情が、腹の底からこる。


ギースが言った。


「けどな、お前は事件の真相を知ってるだろ? そういうやつは、生かしちゃおけねえ」


事件の真相……


ギルドがやったこと。


そして俺にぎぬせたこと。


ギースが叫ぶように笑って言った。


「全てを闇にほうむるためには、お前には死んでもらわなくちゃなァ!」


……なるほど。


真相を知り、なおかつギルドへ強い恨みを持ってる俺を、生かすつもりはない……。そういうことか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る