第8話 うちのきょうだいたち

 ~琉菜side~


 ってなわけで、和希がうちでご飯を食べることに‼

 私はご飯作るの苦手だから、お姉ちゃんがほぼやってくれるんだよね。


「和希君はなにが好き?」


 キッチンの方から声がする。お姉ちゃんが和希に聞いてるのか。


「え…ほぼ何でも食べますよ。でも、昼に一番食うのは麺かなぁ」

「オッケー! じゃあ、ラーメンにでもするかぁ!」


 へぇ、和希は麺が好きなんだ! 初めて知った。

 でも、よくよく考えたらすごいことだよね、タッグ組んで2日でこんなに仲良くなるだなんて。以前はただのクラスメートでしかなかったのに。


 ガチャ…

 リビングのドアが開く。


「ただいまぁ」

「ただいま! ご飯?」


 とチビたちが顔を覗かせる。

 私の弟と、妹だ。


「おかえり!」

「おかえり~。今日はラーメンだよ!」

「やった~!」


 とはしゃぐ弟妹。


「あれ? 琉菜お姉ちゃん、その男の人は?」

「あぁ、この人ね。琉菜お姉ちゃんの相棒! やっと見つけたんだぁ。白石和希! 電気を操れるんだよ~」

「えぇっ、すごい! かずきお兄ちゃんって呼んでいーい?」

「すごい…! るあも、そう呼んでいい?」

「え、えぇっと…」


 和希、初めての小さい子かな?

 まずは自己紹介をさせる。


「ほら。自己紹介!」

「るあは、森野もりの 琉亜るあ! 双子のお姉さんだよっ。小学2年生!」

「ぼくは、森野もりの 叶芽かなめ! 双子の弟ですっ。るあお姉ちゃんと同じで、小学2年生!」


 ふふっ、可愛いなぁ。でも、この可愛いキャラももうすぐおしまいか。


「おう、よろしくな、琉亜、叶芽。和希お兄ちゃんって呼んでいいぞ。にぃにでも」


 あれ? 小さい子に不慣れかと思いきや、結構手慣れてる?

 一人っ子のはずなのに…。


「かずきにぃ!」

「かずにぃ~!」


 和希は2人に気に入られたらしく、ベタベタしてお喋りしている。

 …今日は、私の出る幕はなさそうだ。


「ただいま~」

「ただいま」


 あ、帰ってきた。


「お帰りー。今昼ごはん作ってるから、そっちで和希君と喋りながらでも待ってて」


 とお姉ちゃんがお兄ちゃんたちに言う。


「ほーい。ありがとなー、琉海」

「了解」


 一人は元気そうで、もう一人はクールそう。

 この二人と、お姉ちゃんと、私、琉亜、叶芽で、6きょうだいだ。


「えっと…」


 リビングにいる私たちの目の前に来たお兄ちゃんたちは、きょとん、としている。


「私の相棒の白石和希! 電気操れるの。ほら、自己紹介」


 同じことを何度も言いすぎて、和希の説明がどんどん簡素になっていく。

 帰ってくるなら全員で来て欲しい。


森野もりの 叶多かなたでっす。モノを浮かせて動かせるんだ! 大学1年生だ! よろしくな、和希」

「…森野もりの叶斗かなと。人とかモノの移動速度を速めることができる。高校2年です、よろしく」

「もー、相変わらず叶斗お兄ちゃんはブアイソだなぁ」


 叶斗お兄ちゃんはこういう性格だから、しょうがない。


「あっ、白石和希です。琉菜さんにお世話になってます」


 お世話? ないない。


「ごめんなぁ、うちの琉菜が迷惑かけてばっかでさぁ」

「見てもいないくせに余計なことを言わないっ!」


 確かに魔法測定のあとずっと寝てて迷惑かけたかもしれないけど、叶多お兄ちゃんはこういうことを言うのが好きだからなぁ、もうホントに嫌になっちゃう。


「大丈夫? うちの叶芽と琉亜、結構アクティブだけど」

「あっはい。全然大丈夫です、小学生は結構慣れてるので」


 珍しく、叶斗お兄ちゃんが和希に親身になってる。

 和希のことは信用できるのかな?


「よし、できたよ‼ 食べよっか~」


 相変わらず手早いな、お姉ちゃんは。

 こうして、私たちきょうだいと和希は、一緒に昼食を食べることになったのだった。

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