第2章 子供大好き和希君!
第7話 波音の性格と突然の姉の来訪
「ん…」
目を開けると、そこは…病院の、部屋のようなところ。
「あぁ…」
体を起こそうとすると、腰が痛い。
周りを見回すと、琉菜、火宇雅、波音もまだ眠っている。
ベッドから降りてドアの上を見てみると、「休憩室G-X」と書かれていた。きっと、ここも修行会場の中にある場所だ。
さっき…火宇雅たちと戦って、最後どうなったかは分からないけど、戦い終わった瞬間に、睡魔に耐え切れなくて眠ってしまったのか。
他のみんなも同じ感じだろう。
「…わっ」
俺のいたベッドに結構近いところにあった琉菜のいるベッドから、小さな声がした。
「ごめん、起こした?」
「んーん、和希のせいじゃないと思う。まだ火宇雅たちも寝てるんだね…」
と琉菜が言うと、次は波音が体を起こした。
「あ…私たち、寝てた…あ、琉菜たち。ごめん、遅かったよね」
「そんなことないよ! 火宇雅だって寝てるし」
「火宇雅が遅いのはいつものことなんだよね…はぁ」
波音の性格からはこんなことをするとは見て取れないが、火宇雅に向かって呆れてため息を吐いている。この姿には、琉菜も驚いていた。
「私と火宇雅は幼馴染でさ。火宇雅のお父さんが海外に単身赴任してて、お母さんは夜勤だから、火宇雅は、家で朝一人なんだ。私は家が隣で学校も同じだから、毎回私が起こしに行くんだけど、全っ然起きないせいで、私まで遅刻に巻き込まれることなんてしょっちゅう」
波音は火宇雅のことになるとぺらぺら喋るのか、早口で表情豊かに、こっちに向かって話していた。
その様子を見て、琉菜はにへらと笑っていた。その表情を見て波音は少し顔をしかめる。
どういうことだ?
「和希には分かんないよ。分かんなくていいし!」
なんだその言いぐさは。
「ふんっ!」
ぼすっと波音が布団の下にある火宇雅の腹を殴った。
それでも火宇雅はうんともすんとも言わない。
「はぁ…」
今度は、体をゴロゴロ転がして、背中にパシッと平手打ち。
…ピクリともしない。
「…はぁ。ごめん、二人とも。最終手段使うから、耳塞いで。琉菜、ドア閉めてくれる?」
音を気にするってことは、魔法を使うのか。
次の戦いもあるんだろうし、温存しておかなくて大丈夫なのか?
「
キーーーーーーーーーーッ‼‼‼
「ギャッ!」
甲高くて急ブレーキを踏んだような高音で、火宇雅が飛び起きた。
波音は火宇雅の布団の上で腕を組み、どうしてもあなたが憎いんですって感情がにじみ出てきそうな目で火宇雅を見下ろす。
「す…スミマセン」
「次、私に魔法使わせたらどうなるか分かってる?」
「ハ、ハヒィ‼」
火宇雅、波音の剣幕に気圧されて、日本語喋れてないぞ。
さっきと立場が逆転してる気がするのは…俺、だけか…?
「おっ、みんな起きた! 氷桜~!」
「うっさいな、なんだよ」
ドアから顔を覗かせた唯風さんは、左側に向かって叫んだ。その先から、氷桜さんの声が聞こえる。
氷桜さんは、俺たちの前にいる時と、唯風さんと二人で話しているときで性格が違う風に思う。
「よし、今日はもう17時だから、戻ろうか。明日も6時で大丈夫?」
「はい!」
「分かりました!」
「オッケーです!」
「了解です」
このような感じで、今日の修行は幕を閉じた。
現実世界に戻ると、外の太陽は南にある。今から学校に行くのか?
「琉菜、学校行くか?」
「んーん、昼になった日は行かないって決めたよ。面倒臭いし。和希は?」
「じゃあ俺も行かなーい」
確か、今日の午後の授業は歴史だ。一番面倒臭い教科だ。
そんなに内申に響かないし、授業に全部出なくともテスト範囲は大丈夫になる授業構成がされている。時空が歪んでいる修行会場を行き来する
「…琉菜ー? 入っていい?」
「おっ、お姉ちゃんっ!」
お姉ちゃん? ってことは、ドアの先にいるのは、琉菜の唯一の姉ちゃんか?
「いいよ! 人いるけど」
「知ってるってー」
そう言いながら入ってきたのは、琉菜より少しだけ身長が高く、髪も長い人だった。
「おっ、この子が相棒? 的なやつ?」
「うん、白石和希。クラスメートだよ。電気を操るんだよ!」
「し、白石和希です。よろしくお願いします」
「へー、すごいじゃん! 私は
「こちらこそ、よろしくお願いします」
差し出された手を取って、握手。
「お姉ちゃん、お昼ご飯、7人分!」
「えーっ、帰ってくるかな? 他の人」
「呼んでこようか?」
ん? なんか一個引っかかる。
きょうだいは6人で、森野家の親は仕事に行っているはず…。
あれ、7人分?
「和希、私たちは下で待ってよ!」
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