第4話 測定室で超熟睡、異次元の力

「これから白石和希の魔法測定を始める! 礼!!」

「よろしくお願いしますっ!!」


 気合いを入れて頑張らないと。


「…ってことで、まずはあの的に渾身の力で魔法を出してみて」

「はいっ」


 ここは測定室。それも、ものすごい量がある中の、測定室A-1-AA-1A。つまり、一番最初の測定室だ。

 室内でも分離されていて、的とか、なんか色々な箱とか、何かのゲージとかがいっぱい並んでいるところが今俺がいるところ。

 それと、なんかバスケの電子得点ボードみたいに色々なボタンがついている、飛行機に指示を出すような機械とヘッドフォン、モニターが2台あって、いかにもって感じのところがある。そこに氷桜さんと琉菜がいる。

 エネルギーを手のひらに集中させて、魂投げ出すみたいに、


「あぁぁぁぁぁぁ゛っ!!!!」


 と叫んで魔法を出した!!

 俺は、ものすごいエネルギーを使い果たして、「あぁ…」と地面に倒れる。

 的は今もなお、すごい音を立てている。

 ビリリリリリリリリリリリリッッッッッ


「わぁヤバっ」


 氷桜さんの驚いた声が、こっちに入ってくる。


「氷桜、さん…5分くらい…無理かも…」


 と言った俺は、地面に突っ伏した。




「ん…」


 目を開けると、そこは地面の上。


「あ、起きましたよ、氷桜さん!」

「ほんと、きっかり5分だな。じゃあ和希、次の測定行くぞ!」

「んぁ? あぁ、はい…」


 眠ってたのか…。

 ちょっとだけでも回復しないと、次に影響があるし、睡魔に負けたんだ…。


「次は、あの空洞の下に行って」


 氷桜さんに言われるがまま、天井からどこまでも続く空洞の下に立つ。


「できるだけ高度を上げて」

「はいっ!」


 今度は、重力に逆らう力が必要だ。とにかく、スタートダッシュの威力が高いほうが絶対にいい。

 さっきより長く溜めて、宇宙に放つように!


「うぅぅぅぅぅぅ゛っ!!!」

「あぁぁっ、一瞬で1000km超えちゃったよ…強すぎだって」


 鮮明な氷桜さんの声を聞きながら、また眠りに落ちていく…。




「…いっ、おいっ! 起きろ! 次の人が待ってる!」


 氷桜さんの怒声で飛び起きると、目の前には般若の氷桜さん。


「すっ、すみませんっ!!」


 俺が謝ると、すぐに氷桜さんが機械の方に戻る。


「最後だ! 他の魔類マジカルからの攻撃を受けずに返せ!」


 わっ、最後だけ実践的だ。

 目の前に人が出てくる。

 眉毛と眉毛がくっつきそうなくらいシワが寄っていて、超怖い顔のおじいさんだ。


「わっ!」


 次の瞬間には、こっちに火の玉が向かっていた。

 ならっ…!


「えいっ!!」(←アンタはドッチボールしてる5歳の女の子か。)


 広い電流の膜を張る。それ以上に火は来なくなった。

 それなら、この壁をおじいさんに、返すっ!


「うがあぁぁぁぁぁ…」


 …倒してしまった以上、申し訳ない。

 白い髭をめっちゃ伸ばしたおじいさんが、自分の攻撃で倒れてんの嫌なんだけど。


「はいっ、終わり! お疲れ様!! 場所移るよ!!」


 氷桜さんも、琉菜も、すごい勢いで走り始めるから、俺も急いでついて行った。




「…よし、終わり! 琉菜、お疲れ様」


 ここは、測定室Z-99-ZZ-99Z。つまり、一番最後。

 琉菜に関しては、魔法が特殊だから、測定はすぐに終わった。

 琉菜は睡魔に襲われて、地面の上で眠っている。

 その時、氷桜さんの方からピロリン♪と通知音が鳴った。

 氷桜さんは、スマホを見ると、


「やっば! 唯風に呼ばれてる。和希、琉菜をさっきの場所に帰してくれるか? 俺は超特急で帰るから」

「あ…はい」

「あ! あと、二人とも魔力すごかったから、自信持て! あとで琉菜にも言っておけよ!」

「はっ、はいっ!!」


 そんなに俺ら、すごかったのか?

 もしかしたら結構、いいバディなのかもしれない。

 健やかな琉菜の寝顔に向かって、少し微笑んでしまった。

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