第7話 西田涼子という女

 涼子は複数の友人たちから『どこかボーっとしていて、すぐに人にだまされる』と度々言われてきた。


 七海にいたっては、「涼子ちゃんは今でも夢見る少女なのね。かわいいね」とあきれ顔で言われたばかりだ。

 いわゆる『すきのあるオンナ』ということらしい。


 この期におよんで涼子は、2回目の結婚の夢を語ったからだ。

 どこかの女性雑誌で読んだ「なぜ人生100年時代、結婚は最低3回すべきか」という記事をあたかもバイブルように信じているふしがある。


 高校の同級生の彩子あやこからは、

『まぁ、そこが涼子の素直さよ。何でも信じるところ。詐欺さぎにあわないでね。でも、詐欺にあっても気付かないかもしれないわよ(笑)』

 と数日前に言われたばかりだ。


 (そうなのかな、そうかも)


 涼子は、ニュースで特殊とくしゅ詐偽さぎ事件を見るたび、『えー、普通おかしいって気づくよね。なんで分からなかったんだろう』って思っていたけど、実際に詐偽にあってる人は、そもそも詐偽だと気づいてないのではないか。


 涼子には「私は絶対は大丈夫、今までもだまされたことないもん」というみょうな自信があった。


 しかし、その性格こそがあだとなっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る