3月17日 (後編)終わりのはじまりとこたえ合わせ

 3月17日(日曜日)つづき


 マサオ「じゃあ、もうお前は行かなくていい!俺1人で行ってくる!」 


(はぁ?なんでそうなるの?)


 ちなみに、マサオはこれまで1度も塾の保護者会に来たことなどない。


 みゆは現在の進学塾に小学2年生から通っている。小学4年生のときに周りのみんなが中学受験を当たり前にするクラスを勧められ、そちらに移った。

 みゆは、どんどん勉強が面白くなり、第一志望のY市の国立附属中学校に合格した。


 中学受験には親のサポートが絶対に必要だ。週3回の送迎はもちろんのこと、その日の時間割や、宿題の範囲の把握、次々に必要となるテキストに名前を書いたり、インデックスをつけたりもする。

保護者会や面談も何度もある。複数の私立中も受験するので、願書の取り寄せから提出までつきっきりになる。


 マサオは詳しいことは何も知らなかったし、知る気もなかった。


みゆは、そのまま塾の中学部へ移り、何も言わなくても黙々と1人で勉強している。

超難関私立といわれる高校を受験するトップクラスに席をおいている。

涼子もマサオも中学受験の経験などない。トンビがたかを産んだと思っている。

 最初の頃は涼子も夫婦で話し合いたいことがたくさんあったが、いつも「それ、俺行く必要あるか?」と言われる度に諦め、相談や報告もしなくなった。


(それなのに、俺が1人で行くですって?)


 売り言葉に買い言葉で、涼子は「分かった、じゃあ保護者会に行くのはお願いします。では私の代わりに来年の高校受験のことも詳しく聞いてきてください。志望高校の対策とか、試験日はいつ頃で、いつまでに願書出さないといけないとか、そういうのもやってね」と投げやりに言った。

 案の定の答えが返ってきた。

 マサオ 「知らん、やるかよ」

 涼子「知らんじゃないって、保護者会1人で行くならちゃんと聞いてきてよ。」

 マサオ「うるせー、関係ねーやん」

 涼子「じゃあどうするって言うの?」

 マサオ「高校受験やめればいいだろ」


(は?中卒ですか?)


 なんだコレ、テキストに起こすと、なんてアホな会話だろうか。

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